前回の記事「契約・派遣社員は会社にとっての取捨選択が簡単で便利な「部品」」

 

この記事は前回の続きです。

 

前回の記事では工場で働いている契約、派遣社員の人間は会社にとっての「部品」だといいました。

雇う側にとって、取捨選択が容易で扱いやすい部品だと。

今回はその話の続きです。

 

もし前回の記事を読んでおられない方はまず前回の記事を読んでからこの記事を読んでいただければ、内容が理解しやすいかと思います。

 

いろんな工場で契約・派遣社員をやってきて私が思ったこと、感じたことです。

 




 

個性豊かな契約・派遣社員

 

契約、派遣・・・とくに派遣社員は従業員によって勤勉さにとても差がある。

茶髪や金髪で作業着もだらしなく着て不真面目に仕事してる人もいれば、その反対でとても真面目な人も多い。

なかには「何でこんなすごい人が派遣社員なんかやってるんだ?」と、舌を巻くような人もいる。

彼らは作業着もキッチリ着こなし、遅刻、欠勤は一切しない。

残業や休日出勤もフルで出て、仕事も正確でとてもスピーディーに動く。

 

その素晴らしさは労働面だけではない。

人としても何か違う。

 

大きな工場ともなるといろんな人間が働いている。

中には人の噂話が大好きな人もいて、

「あいつとあいつ、ヤッちまったらしいよ。」

「あの二人不倫してるらしい。ラブホに入るの見たやつがいる。」

「あいつ大借金かかえてるらしい。」

など、ペチャクチャ人の秘密をしゃべる人もいる。

 

人の悪口大好きな人も多く、

「あいつマジうぜぇー。」

「息くせーんだよあいつ。」

「ハゲがよー。」

など、休憩中に陰口合戦が始まってることもよくある。

 

しかしできる派遣社員の人はそういう話に一切加わりたがらない。

眉をひそめて別の休憩所に移動するか、自分にはかかわりのない話だと耳をかさない。

そういう人たちはなんか・・・できる人間のオーラを放っている。

カッコイイのだ。

だからこそつくづく思う。

 

「何でこんな人が派遣なんかやってるんだ?」と。

 

人は見た目で判断される

 

彼らが派遣社員をやっている理由・・・それはもちろん不景気だということもあるが、寡黙さにもあると思う。

 

面接というのは性格が明るく、ハキハキとした受け答えができる人間が受かりやすい。

 

それと大きく関係があるのが外見。

人は見た目ではないとよく言われるが・・・見た目だ。

 

見た目が良い人はありとあらゆる面で得をする。

見た目が悪い人はありとあらゆる面で損をする。

これは変えようのないこの世の事実。

 

工場で働くことを好む人は、しゃべることや人とのかかわりを苦手とする人も多い。

だから面接時にハキハキとした受け答えができず落とされることがよくあるのだ。

面接官もその人がどれくらい働けるのか、やる気があるのかは実際に雇って働かせてみないことにはわからない。

だから短時間で合否を決める面接なら採用、不採用かは最終的に印象で決めるしかない。

受け答えがハキハキして見た目の印象がいいから「真面目、やる気がある」

暗く、見た目の印象が悪いから「不真面目、やる気がない」なんてことは断じてない。

断じてないが・・・暗く、見た目の印象が悪い人は面接で受かりにくいのも事実。

 

そんな現実に絶望しながらも、彼らは勤勉に働いていればいつか正社員になれる日が来ることを信じて派遣社員を皮切りに、真面目に働くのだ。

 

兄の苦悩

 

私の兄がもろにそのタイプだ。

兄はしゃべることを得意としないから常に寡黙。

背が高く、見た目からちょっと怖い印象を受ける。

だから正社員の面接でよく落ちる。

しかし性格はとても真面目で派遣や契約社員で入っても真面目に仕事をこなす。

遅刻、欠席をせず、残業や休日出勤もよほどのことがない限り断らない。

1年、2年、3年・・・長いところで5年以上その勤勉さで働きつづけた。

しかし・・・どの会社でも正社員には繰り上げられなかった。

不真面目に働いている派遣社員同様に必要無くなれば仲良くクビを切られた。

 

契約満了。

君、もういいや。

お疲れさん。

 

兄はいつもそんな感じだった。

だから現実世界に絶望し、精神世界へと逃げるようになった。

兄の部屋にはスピリチュアル系の本が増え、部屋に篭るようになっていった。

母はそんな兄を心配し、いろんな人に相談していた。

 

「彼・・・このままじゃ自殺しちゃうよ?」

 

とある霊能力者にそう言われたと母は私に言ってきたこともあった。

私は・・・「ふ~ん。」って感じだった。

だって・・・兄の人生って昔からいつ自殺してもおかしくないような人生なんだもん。

兄が部屋で首つってる。

そんな可能性を覚悟した日もよくあった。

 


 

人の取捨選択がずさん

 

そんな真面目な人たちが切られる様は何度か目にしてきた。

忙しい時期が終わりを迎えそうになると、派遣社員たちの間でいろいろと情報が飛び交う。

「お前契約期間終わったらここ(今働いてる工場)終わり?」

「ここ辞めたらどうする?」

私も契約満了と同時にクビを切られたことがあるし、クビを免れたこともある。

 

多忙な時期をのり越えた次の日、会社に行くと社内は嘘のように閑散としている。

今まで人が多かったから会社からかなり離れた駐車場に車を止めなきゃいけなかったのに、駐車場はガラガラに。

休憩場所も食堂もガラガラで座るところに困らなくなる。

そして誰が残り、誰がクビを切られたのか、ガラガラとなった食堂で確認できる。

「あれ? あの人の姿がない。」

「あの人も・・・。」

中にはとても真面目に働いている人たちもいなくなっている。

 

「なぜ俺なんかが残ってあの真面目な人たちが切られたんだ?」

 

私の働きぶりは不真面目とはいわないが、残業、休日出勤フル出勤には遠く及ばない。

だから私なんか残すより、フル出勤の彼らを残すべきなのに・・・。

 

その理由に部署の関係がある。

真面目に働いている人たちがいた部署は暇な時期に入ると電気が消え、稼働していなかった。

そうか・・・。

そういうことか・・・。

真面目に働いていた人たちを皆違う部署に異動させてまた一から仕事を覚えさせる手間を考えたら、稼働しつづけている部署で働いているそこそこ真面目な人を残す。

そんなところだろう。

契約満了と同時に自主的に辞めた人ももちろんいるが、そこはやはり聞こえてくる。

クビになった人のことを。

 

働いてて仲良くなった正社員の人達が言っていた。

「あの人たちすっごい真面目に働いてたのに・・・クビにしちゃってもったいない。」

 

現場をよく知らないお偉いさんたちの派遣社員配置決めはけっこうずさんなとこもあった。

 

派遣の扱い

 

前回の記事の最初で話した、今年(2017)の秋頃に閉鎖と決まった工場も派遣社員の扱いがずさんだった気がする。

忙しくなれば人を入れ、暇になればガンガン切る。

 

私が配置された部署は年中仕事があったので切られなかったが、他の部署はそうではなかった。

その会社の偉い人たちがたまに言ってた。

「頑張れば契約社員は正社員になれるし、派遣社員だって昇給があるぞ!」

それが嘘か本当かは、その工場内で働いてればなんとなくわかる。

正社員採用の話はとくに。

正社員なんかいつの時期もまったく増えてないからわかるのだ。

だから私はそんな激励をいつも話し半分で聞いていた。

 

私はその後体調を崩し、自主的にその会社を辞めた。

そしてしばらくして兄が契約社員としてその会社に入った。

兄は私とちがってとても真面目に働いていた。

遅刻、欠勤一切なし。

残業も休日出勤もフルで出ていた。

しかし3年後・・・兄はクビを切られることになった。

 

相変わらずだなあの会社・・・。

 

その話を聞いた私はそう思った。

 

 

契約・派遣は雇う側にとってとても便利で扱いやすいシステムだろう。

とくに時期によって仕事量が全然違う工場系の会社にとっては。

必要な時期は補充すればいいし、必要無くなれば契約を終了して「また忙しい時期にはよろしくね~。」

これじゃあ正社員なんか雇わず、契約・派遣社員ばかり雇うのは当然だろう。

しかもその契約・派遣が正社員並みに働いてくれるとあらば尚更だろう。

 

しかし私はそのやり方が通用するのは「不景気時だけ」だと思っている。

 

使わないのなら彼はうちの会社がもらう

 

募集をすれば取捨選択が簡単な部品のような派遣社員は来る。

仕事も真面目にこなし、休むことなく残業をこなす「優秀な部品」も来てくれる。

しかし・・・優秀な部品たちがわんさか来てくれるのは不景気時だけだ。

景気がある程度良くなれば他の会社も人を求める。

正社員として雇うという会社も大勢出てくる。

 

部品たちはまず派遣社員や契約社員ではなく、正社員の方に目を向ける。

そして正社員として雇ってくれる会社で面接を受ける。

彼らの履歴書を見て、その職歴のほとんどが派遣社員や契約社員として切り捨てられてきた現実を聞かされれば、面接官も同情して雇ってくれるケースが増える。

彼らは晴れて正社員として採用となり、会社にとって都合のいい部品扱いから解放されるのだ。

 

その結果・・・余ったのは正社員として採用されない茶髪や金髪でやる気のない部品たち。

派遣社員としてくるのはそんな人たちがメインとなる。

 

人手が欲しいからとりあえずそんな彼らを雇う。

遅刻、欠勤が多く、残業もしない彼らに部署長や班長、そしてその工場の正社員たちはイラつきながらもこう思う。

「もう少ししたら真面目な人たちも入ってくるはずだ。」

しかし・・・そんな人たちは来ない。

まったく来ないことはないが、去年や一昨年よりも圧倒的に数は少ない。

 

景気が良くなると注文も増える。

その大量の注文を捌かなければならないのに、肝心の派遣が使えない。

それじゃあもっと人手を増やしたいのに人が来ない。

来てもやる気のない連中ばかり。

そんな彼らに仕事を教育、指導するのは正社員の仕事。

思うように動いてくれない彼らに正社員の負担は増えるばかり。

ただでさえ仕事が多いのに、どんどん余裕がなくなりイラついてくる正社員たちは、彼らへのあたりを自然と強くしてしまう。

そうなると元々やる気のない派遣社員たちはさらにやる気をなくしてしまう。

そしてやる気のない派遣社員同士で徒党を組みだす。

 

「あのババア(班長)マジうぜぇ。」

「正社員だからって何アレコレ言ってくれてんの?」

「俺もう絶対残業やんねーわ。」

「あ、俺も。」

「じゃあ俺、明日休むわ。」

「お前ハンパね~(笑)」

 

仕事が納期で終わらなくても、どうせ切られる派遣社員である彼らには一切関係ない話。

仕事をしない派遣社員と、仕事をしなければならない正社員との確執はどんどん大きくなっていく。

 

そんな彼らに正社員である人たちの我慢もピークに達する。

 

「もう嫌! 工場長! あいつらクビにして!」

「クビが無理なら他の部署のもっと真面目な人たちと交換して!」

 

工場長もその要望を聞き入れてあげたいが、真面目な人が少ないのだ。

真面目な派遣社員が来てくれないのだ。

 

おかしい・・・。

今年はおかしいぞ・・・?

派遣社員が不作すぎる。

 

そうなると会社としても直接雇用する「契約社員」の数を増やしだす。

しかし、ご希望に添えるような人は他の会社で正社員となっているので来てはくれない。

面接で貴重な時間を余計にとられることになる。

 

 

こんな漫画のようなことが起こりうる。

 

私も派遣社員のとき、正社員同士の使えない派遣社員に対する愚痴や文句をよく聞いたし、忙しくなりヒステリーを起こした正社員のオバサンも目にした。

派遣社員達の盛大なボイコットも見たことがある。

 

私自身ボイコットには参加しなかったが、若い頃は私も派遣同士の愚痴や文句に参加していた。

20代半ばになったら派遣と正社員との確執を傍観者の立場で見物させてもらっていた。

 


 

会社の信用が落ちていく

 

そんな彼らがますますやる気をなくすと仕事のスピードはもちろん、仕事の質も落ちていく。

配線のつなぎ方がおかしかったり、テーピングの巻き方が緩かったり、検品が甘く、不良品となるような製品を流してしまったり・・・。

 

そうなると、その尻拭いをしなければならない正社員の負担とイラつきはさらに増す。

そして正社員の仕事の質も気づかぬうちに落ちていってしまう。

納期に間に合わすためスピードを重視しすぎて検品が甘くなってしまうのだ。

そうなると不良品がどんどん流れていってしまう。

顧客のクレームも増える。

商品の信頼やブランドも落ちてしまう。

人手が足りないから仕事がさばききれなくなり、断らないといけない仕事も出てくる。

そんなことが続くと、会社全体の信用が落ちていってしまう。

そして断った仕事は別の会社が請け負い、他の会社が育っていく。

 

人を軽んじる会社はこのようにして落ちていってしまうのだ。

 

飛び交う情報

 

今年の秋頃閉鎖が決まった、私と兄が働いていた会社が実際このように追い込まれていったのかは知らないが、このようなことが起こってもおかしくはない会社だったと思ってる。

 

いろんな仕事を機械に任せられる世の中になっていくが、派遣や契約社員は物言わぬ部品ではない。

考え、不満をもつ人間だ。

そして彼らは情報を交換し合う。

今はツイッターやLINEなどでより一層情報を交換しやすい世の中になっている。

 

「あの会社はやめたほうがいい。」

「すぐクビにするよあそこ。」

「規則厳しすぎ。居心地悪い。」

 

このように会社の内情は簡単に漏れていく。

会社の評判は人の噂で簡単に落ちていき、雇おうにも人が来なくなる。

そんな噂を少しでも防ごうと、工場内は携帯、スマホ持ち込み禁止にしている会社も増えている。

しかし「あそこの会社、スマホ持ってっちゃダメなんだと。」と、それすらも評判が落ちる原因となる。

 

 

「引き寄せの法則」なんてのがあると言われるが、私もいろんな会社を見てきて、これは本当にあると思った。

私は20代前半の頃はわがままで自分勝手でクズ野郎だったが、そんな私が入社した会社は同じようにわがままで、すさんでいる人が多い会社ばかりだった。

中には私のしゃべり方やしぐさが気に食わないといって怒鳴り散らしてくる上司もいた。

しかしその後いろいろあって、私自身人間的に多少まともになってくると、私が入社する会社は人間的に素晴らしい人が多い会社や部署に導かれるようになっていった。

 

人を軽んじる会社は同じように、人を軽んじる人が集まりやすい。

人を重んじる会社は同じように思いやりのある人が集まりやすい。

 

インターネットが発達して人の意見が簡単に流れる世の中になった今、人の噂は完璧にはシャットアウトすることはできない。

これからは本当に良いものしか生き残ることができないと思う。

それは商品も・・・会社も同じ。

 

 

ちょっと極端な話かもしれませんが、これが多くの契約・派遣社員を経験してきた私の思うことです。

もちろんこの話に対し反論がある人も多いでしょう。

それでも、こんな長い文を最後まで読んでくれたことに感謝いたします。

 

ちなみに私の兄は今年やっと正社員で落ち着くことができました。

37歳でやっとです。

休みも多く、とても働きやすい会社だそうです。

そんな兄も少しずつですが笑うようになりました。

よかったな兄貴。

 

 

私? 私は・・・

 

いやいやいや、ちょっと待って?

もしかして私が今もまだ契約や派遣社員なんかやってると思ってる?

 

じょーだんじゃないよ!

誰がそんな底辺で働くもんですかっての!

 

 

 

・・・アルバイトだよ。(今年で35歳)

 

 

・・・・

 

 

いいんだよ私のことは!

 

人生はね・・・終わりよければすべていいんだよ!

 

私が死を迎えるときは君たちよりもっともっととびきりの笑顔で死を迎えてやんよ!!

 

 

はぁ~・・・。

 

お疲れっしたぁ~っス。

 




 


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