この記事は前々回からの話のつづきです。

前々回の記事では「多くの漫画家志望の方々が漫画を1作でも仕上げたことがない」みたいなことを書きました。

 

その記事「漫画家志望者で1作でも漫画を完成させたことがある人は何%か?」

 

そして前回の記事では「自分の作品、自分の才能に自信をもたなきゃ漫画なんてとても描けない。だから自惚れをもちなさい」みたいなことをえらそーに語りました。

 

前回の記事「漫画家志望者は漫画を描くなら自分の才能に自惚れをもって!」

 

で、今回の記事では私自身の話をさせてください。

私はどうだったのか? 自惚れながら漫画を描いていたのか? それともちがうのか?

そこのところをお話しします。

しょーもない内容になるかもしれませんが最後まで読んでいただけると幸いです。

 




 

俺は才能がある

 

私は漫画家を目指していたときに約16作品の漫画を描きましたが、最初の頃はそれはもう作品を描くペースが早かったです。

1作仕上げたらその反省点を活かして1カ月以内に次の作品へ。その作品が終わったらその反省点を活かしまた次へ。

どんどん描いていきました。

なぜ当時の私はそんなにテンポよく漫画を描けたのか? 理由は簡単です。

それは当時の私は自分の漫画の才能に圧倒的な自信をもっていたからです。

 

「俺は漫画家として才能がある! その俺が描く漫画がつまらないわけがない!」

 

・・・漫画を描く前からこれでした。わけのわからない自信に満ちていました。

だから私は自分が漫画家になれないとはこれっぽっちも思っていませんでした。本当にこれっぽっちもです。

漫画描いてりゃいつか漫画家になれる。そう確信しておりました。

なぜそこまで自分の才能に自信を持てたのでしょうか?

その理由の一つはたぶん私の妄想癖にあります。

 

俺の妄想は楽しい=俺、才能ある

 

私は学生時代の頃からよく妄想をしておりました。

とくにお気に入りの妄想が「自分を主人公にした妄想」です。これやる人けっこういるんじゃないでしょうか?

自分を主人公にして様々な世界の中で大活躍させるのです。

ある世界ではファンタジー系ですごく強い自分が敵を倒しまくって大活躍。

またある世界では学園系で強くてカッコイイ自分が異性にモテモテで「いや~困っちゃうなぁ~」状態。

もう精神的なオ〇ニーですねこれ。でもやってる本人はとても気持ちいいんです。

ここで勘違いしちゃうんですよね。

 

「こんなに気持ちよくておもしろい世界を妄想できる俺すごい。才能ある。この世界を漫画にすればきっと大ウケ間違いなし!」

 

 

・・・そりゃ自分が主人公として大活躍してる物語なら本人は楽しくて当然です。

でもそれを他人が読んでも面白いかというと・・・そこは全然違ってきます。

赤の他人が大活躍してる話なんて読んで、いったいどこの誰が楽しめるというんでしょう。むしろ自慢話を聞かされてるようで不快です。

だから「他人が読んでも面白いと感じさせる大活躍劇」を描ける人間が本当の「才能がある人間」なのでしょうが・・・当時の私はそんなこともわからなかったんですよねぇ・・・。

ただただ自惚れてました。

 

俺は特別な人間

 

もうハッキリ言いますが・・・私は子供の頃から「自分は他の人間とは違う! 何か特別な使命をもっている!」そう思っていました・・・。

 

・・・・

 

大丈夫か?この記事!?

もう何かいろいろとひどいな!!

 

・・・つづけます。

これ・・・皆さんは思いませんでした?

学力は平凡。運動神経も平凡。すべてにおいて平凡なのに

「自分の中にはきっとまだ秘められている力(才能)が眠ってる! ほかの連中にはない大きな運命が待っている!」

・・・みたいな。

私だけかな? でも少年ジャンプを読んでる人なら絶対にこういうノリになった時期があるとおもうんだよなぁ・・・。

 

で、私はその秘められた才能とやらも、使命とやらも、学生時代には見つけることができなかった。

しかし社会人になって・・・その使命が漫画家であると気づいたんです!

人生いろいろうまくいってなかった。(とくに20歳頃から)

でもそれはすべて私を漫画家への道へ引っ張るための神が与えた試練だったんだ!

社会に適応できない自分を見せて「もう俺には漫画家しかない!」と、漫画家への世界へ神が私をいざなったんだ!

 

・・・わかったよ神様・・・。

 

俺! やるよ!!

 

・・・みたいな。

・・・うん。・・・なんかね・・・頭の中に何かおめでたい花が咲いたんだ。

とても綺麗な花だったんだよ・・・。

これ、冗談で言ってると思ってるかもしれませんが・・・本気です。

当時の私は本気でその使命とやらを感じ取ったんです。

だから1作目の漫画制作にとりかかったときも、ストーリーをチャッチャッと作って描きはじめたときも、その作品が面白いか面白くないかなんて関係なかった。

 

「俺が描くんだよ? 神に後押しされてるこの俺が! そんな俺が描けば必ず漫画家になれるに決まってんじゃん!!」

 

 

・・・いろいろ追いつめられてたんです・・・。本当にしんどい20代だったんです。

だから何かにすがらないともう生きていけなかったんです・・・。

 

その20代の記事「頭痛、めまい、吐き気、不眠、ボケ。私の地獄のような体験談」

 




 

あのひどい1作目を描いた後でも

 

え~・・・私は以前の記事で最初に描いた1作目の漫画をこのブログでさらしたわけですが・・・見てくれた方はいるでしょうか?

 

その漫画「私の1作目の漫画「生きぬければ」 渡かいと」

 

だいたいの人があのひどい漫画を描いたあとならこのボケは自分の才能のなさに目が覚めるだろうと思うでしょうが・・・覚めません。

まだまだ全然覚めません。

当時の私はあの駄作を描き終わった後に、今の自分に足りないものがハッキリとわかりました。

 

それは画力! 今の私には圧倒的に画力が足りない!!

 

そう思い、それ以降私は画力を上げることに全力を注ぎました。

よく漫画に大切なのはストーリーとキャラクターだと言われています。

あのH✕Hの冨樫先生も「話の勉強しろ。すごいキャラ作れ。漫画家になりたいなら絵なんか描いてる暇はない。」

そう言われたほどストーリーとキャラを重要視しておられます。

 

 

私もストーリー・・・とくにキャラクターが大事だと思っています。

しかし当時の私はそれは必要ないと思っていました。

なぜなら当時の私は自分の漫画がすでにストーリーもキャラクターも十分上手く描けてると思っていたからなんです!

 

・・・え?・・・アレで?

 

うん。アレで♡

 

「私に足りないのは画力! その一点のみ!!」

 

・・・ストーリーは?

「え? ふつうに面白かったでしょ? 足りないのは画力! その一点のみ!!」

 

・・・キャラクターは?

「生きてる生きてる。私の作品の中でキャラは自然に動けてる。 足りないのは画力! その一点のみ!!」

 

他にもいろいろ改善すべき点が・・・。

「だからそれが画力でしょ? 足りないのは(以下略)」

 

 

画力も漫画には・・・絶対に必要なものだよね・・・。

 

私が本当に言いたいこと

 

ご覧になってわかったと思いますが・・・当時の私はちょっと暴走してました。

自分の才能を信じ、自分の可能性を信じ、自分の運命を信じる。

非常に滑稽なのですがその結果、1作、2作、3作とどんどん漫画を描いていけました。

そうすることで私は漫画を作ること、そして描くことに慣れていけました。

しかしこんな私でも漫画を描けども描けども結果が出ないことでその自信は失われ、自分の作品を懐疑的に見るようになりました。

「これ面白いか? しょせん俺が描く漫画だしな・・・。描いたところでどうせ今回もダメだろ・・・。」

私の創作意欲は消え、漫画を描く手も止まってしまいました。

 

ここでまだ1作も漫画を仕上げたことのない漫画家志望の方々に言いたいことがあります。

自分の作品を描けども描けどもダメなら自分の作風を疑うのは大事です。

人の意見に耳を傾け、自分の作風を変え、自分の絵柄を変える。

その必要性が出てきてしまうでしょう。

でもそれはず~っと後のことでいいんです。

最初から自分の作風の可能性を疑わないでください。

最初は人の意見に耳を貸さず、自分の信じる感性で描いてください。

 

最近では1作目を描いたらその作品を雑誌社に持ち込みして編集者の方の意見を聞きに行く人が多い気がしますが、私はそれは反対です。

あなたの感性はまだまだ未成熟なんです。そして未知数なんです。これから伸びるんです。

そんなヨチヨチ歩きの状態で編集さんの意見を聞いてしまうと

「なるほど。僕の漫画はそこがダメなんだ。それを直せば僕の漫画は面白くなるんだ。さすが漫画を見るプロはちがうなぁ。よし! これからも持ち込みをつづけて編集者の人の意見をどんどん取り入れるぞ!」

 

・・・これであなたの感性は死にました。

あなたの漫画は今後、あなたの感性ではなくその編集者さん好みの・・・いや、その編集者さんの在籍する漫画雑誌の色に合った作風に修正されるでしょう。

だからなのか、10年くらい前から雑誌で掲載される新人の漫画って似たような漫画が増えた気がするのは・・・。

それに1作目の漫画となるとやはり出来がひどい場合が多いですから編集者の方にボロクソ言われる場合も多いと思います。

最悪あなたの作風を否定されまくって終わり。・・・となる場合も多いです。

これだとせっかくこれから伸びるあなたの作風を早々につぶされてしまう可能性が出てしまいます。

だから1作目から編集の方の意見を聞くのは危険だと思うんです。

どうしても影響を受けざるを得ないわけですからね。

 

でもそれをやらないと漫画家にはなれないからやるしかないのはわかります。

それができる人がプロの漫画家となり雑誌の第一線で活躍できる漫画家としてのチャンスを得られるのでしょう。

私はアマチュアです。しょせん趣味レベルの漫画しか描けません。

 

ですがどうか、これから漫画を描かれる人は1作目から上手く描こうなんて思わないでください!

1作目から何年も漫画を描いてるプロの作品と自分の作品を比較なんかしないでください!

そんなことをしたら心が折れてしまいます!

ヘタクソ上等! ヘタで当然!

だってあなたは人間でいえばやっと2本足で立ったくらいなんですから!

だから最初は人の意見に耳を貸さず、自由に描いて、そして自分を褒めてモチベーションを上げてください!

 

あなたの作品はきっと面白い!

 

面白くなる!

 

面白いと思ってくれる人がきっといる!!

 

その可能性を信じ、1作目にとりかかってください。

しょせん漫画界の負け犬である私の遠吠えです。10秒で忘れて下さってかまいません。

ですがその遠吠えを最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。

渡 かいと

 


 


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