前回の記事「眠ろうとしたとき「プ~ン」と近づいてくる蚊に殺意を覚える」
今年(2017年)春。
私が住んでる県にある一つの大きな会社がつぶれた。
いや、正確にはつぶれることが決定した。
その会社は大きな工場で、今年の秋頃閉鎖することになったそうです。
従業員数も100人を超えているような工場なので閉鎖の話は話題となり、新聞にも載った。
私はそこで働いてたことがあった。
派遣社員として1年くらい。
兄も働いてたことがあった。
契約社員として3年くらい。
今回は契約や派遣社員について私が昔から思ってたことについて一つ、お話しします。
けっこうひどいこと言うと思いますがどうかご勘弁ください。
それと今回の話は今から10~15年くらい前の話です。
今よりもっと契約、派遣社員の扱いが簡素だった時代です。
その簡素な扱いを受けての思っていた印象を書きます。
契約・派遣社員は「部品」
契約社員と派遣社員は会社にとっての「部品」だ。
とくに派遣社員。
取り替え可能で取捨選択も容易な扱いやすい便利な部品。
・・・契約社員、派遣社員の方、すいません。
ですが私は今まで多くの契約、派遣社員を経験してきてつくづくそう思ったんです。
とくに工場で働いている派遣社員。
必要とあらば補充され、必要無くなれば切り捨てられる。
雇う側としては実に扱いやすい部品だろうなと。
工場は季節によって仕事のある、なしの差が激しい。
季節によって注文の数が全然違うので暇な時期は本当に暇だが、忙しい時期は残業が深夜にまで及ぶこともしょっちゅうの忙しさだ。
何を作ってる工場かによって差は全然違うが、私が今まで経験してきた工場は夏、冬がとくに忙しかった。
とくに冬。
そして春になるといっきに暇になる。
夏から工場内の契約、派遣社員の数は増えていき、秋終盤から冬の多忙時期に向けて人をどんどん増やしていく。
そして冬になったら本格的に忙しくなり、残業も休日出勤も増えていく。
正月を過ぎると工場内は派遣社員であふれ、食堂や駐車場はパンパンになる。
そして3月を乗り切り・・・4月になるとビックリするくらい暇になる。
だからいっきに人が減る。
工場によってはピーク時の契約、派遣社員の7~9割がクビを切られる。
私もクビを切られたことがあるし、クビを免れたこともある。
上記で話したつぶれることが決定した工場もそうだった。
その工場では私はクビ切りの対象から外れたが、4月になったら工場内はガラ~ンと人がいなくなっていた。
この工場も他の工場同様に季節によって人の入れ替わりが激しかった。
その光景を目の当たりにしつづけて、つくづくこう思った。
契約・派遣社員は「部品」だなと・・・。(とくに派遣)
誰でもできる仕事だから
なぜ工場の契約・派遣社員は部品となりうるのかというと、そこは仕事の簡単さにあると思う。
すべての工場がそうだとは言わないが、契約・派遣・・・とくに派遣に任される仕事は簡単で単純なものが多い。
だいたい1週間~1カ月もあれば長く勤めてる正社員の人と同じスピードでできるような仕事内容だ。
私が今まで一番簡単に感じた仕事は、点検し終わったパソコンがベルトコンベアを伝って私のところに流れてくる。
私はそのパソコンの後ろに2本のプラグを挿して別のベルトコンベアにそのパソコンを流す。
・・・以上。
仕事の説明を聞いたとき、「え? 終わり?」と、超拍子抜けしたのを覚えている。
体が五体満足に動く人なら誰にでもできる仕事だ。
だから・・・部品となりうるのだ。
誰にでもできる仕事だから覚えてもらうにも長い期間を必要としない。
難しい仕事なら誰にでもできるというわけにはいかないし、仕事を覚えてもらうだけで長い期間を要する。
仕事を教える教育係も必要になってくる。
そんな手間をかけて育てた従業員は暇になったからといっても、簡単には手放せないだろう。
しかし誰にでもできる仕事となれば・・・替えはいくらでも用意できるから捨てることも惜しくない部品となりうるのだ。
なぜ正社員を目指さなかった?
私は多くの会社で敢えて派遣や契約社員を選んでいた。
なぜ正社員を目指さなかったかというと、そこにはいくつか理由がある。
まず一つ。
私の身体は20歳を過ぎたあたりから様々な体調不良に見舞われだした。
その内容については他の記事に詳しく書きましたが、とにかく様々な不快な症状が私を長年苦しめた。
私に体調不良の記事「頭痛、めまい、吐き気、不眠、ボケ。私の地獄のような体験談」
そんな身体の私は仕事を続けては体調を崩し、仕事を辞め養生に努める。
ある程度体調が回復したらまた仕事を始め、体調を崩すまで続ける。
このループだった。
だから仕事が長続きしなかった。
そんな体調だから契約、派遣の方が都合がよかった
もう一つの理由は、私はその頃、漫画家を目指していた。
将来は漫画家となるため正社員という定職に就くことに興味をもたなかったのだ。
まぁ、漫画家になるとか言ってたけど、実際はほとんど口だけで、たいした努力もしてなかったけど・・・。
そしてもう一つ。
大きな工場で派遣社員に囲まれ、私自身も派遣社員として働くのはけっこう退屈しなかったのだ。
個性豊かな人たち
いや、仕事自体は退屈極まりない。
単純作業だから時間の経過がとても遅く感じられてしんどいことこの上ない。
私が退屈しなかったのは人間観察だ。
大きな工場ともなれば、いろんな人間が働いている。
そしていろんな契約、派遣社員が入っては出てを繰り返す。
とくに派遣社員は本当にいろんな人が入ってくる。
作業着も髪型もキッチリしてる人。
茶髪や金髪で作業着もだらしなく着てる人。
友達同士で入ってくる人。
恋人同士で入ってくる人。
そして人によって作業効率、スピード、出勤率も全然違う。
見た目が真面目そうな人はやっぱり真面目に働く人が多く、残業もしっかりとする人が多い。
反面、見た目がチャラい人は仕事も不真面目。
仕事は遅く、遅刻欠勤も多くて残業もしない人が多かった。
その部署の班長や監督がその人たちの愚痴をよく言ってるのを聞いた。
友達同士、恋人同士で来る人達もだいたい不真面目。
片方異様に欠勤率が多いか、両方仲良く欠勤するか。
しばらくすると両方来なくなる。
イケメンの彼氏とくっついている恋人同士が来ると、だいたい男の方から先に来なくなる。
完璧にヒモ化していて、女にだけ働かせようという魂胆なのだろう。
休憩時間にイケメンが彼女に飲み物代やお菓子代を払わせていたのが印象的だった。
まぁ、しばらくすると女の方も来なくなるんだけど。
意外だったのは見た目真面目で、受け答えが異様にハキハキしてる人は長続きしない人間が多かったという点だ。
たまにいた。
受け答えが異様にハキハキしてる人が。
仕事を教わっていて、「ハイ! わかりました!」「ハイ! がんばります!」と、異様にやる気や笑顔を見せてる人。
そういう人は意外と長続きしなかった。
猫をかぶってる率が高かったからだ。
一週間以内にボロが出て、2週間もすると本性が出る。
それとちょっと言い方は悪いが・・・仕事ができない人が多かった。
思考回路が普通の人と少し違うような・・・仕事を教えてても「ん?」と、意見の食い違いがよく起こっていた。
仕事の効率が悪かったり、覚えが悪かったりと・・・気の毒だが途中で能力不足が理由でクビになる人が多かった。
もちろん必ずしもそうというわけではないが・・・そういう場合が多かった。
私は派遣社員が入ってきたら「この人は仕事が続きそうだな。」「この人は続きそうにないな。」そう予想を立てるようになった。
仕事を辞める「時期」についてはあまり当たらなかったが、「続くか、続かないか」はよく当たった。
それと派遣社員はいろいろとトラブルもよく持ち込む。
喧嘩したり、ナンパしたり、ボイコットしたり・・・。
「この人何しに来てるんだ?」と思うような人もよくいる。
だから見てて飽きないのだ。
自分が傍観者でいる分には・・・。
猫の手も借りたい状況だから
見た目チャラく、仕事も真面目にこなしそうにない人など普通は採用などされない。
しかし契約社員はともかく、派遣社員はそういう人も採用される場合がある。
その場合とは・・・猫の手も借りたいような忙しい時期だ。
仕事内容は簡単。
普通の人なら1日、2日かからず覚えられるような仕事ならチャラく、不真面目な彼らでもとりあえずはできる。
どうせ彼らは部品だ。
必要無くなれば切り捨てればいい。
彼らよりも使える部品たちが入ってくるまでのつなぎとすればいい。
だから採用される。
契約が満了すれば確実に切られる部品たちなのだ。
それまでに必要無くなった場合は仕事の不真面目さを理由に切ればいいだけなのだ。
続きは次回で
派遣社員は不真面目な人ばかりではない。
真面目な人も当然いる。
というか真面目な人の方が多い。
なかには「何でこんなすごい人が派遣社員なんかやってるんだ?」と思うほどの人もいる。
テキパキと動き、仕事も早く効率がいい。
無遅刻無欠席で残業、休日出勤も100%出る。
そんな正社員にも全然引けを取らないような・・・いや、正社員よりも働いている人もいる。
そんな人たちですらも必要無くなれば容赦なく切り捨てられる現実を見て、私はつくづく契約・派遣社員は部品だなと思ったのだ。
・・・やっぱり1記事じゃ書ききれそうにないです。
この話、次回に持ち越します。
今回は契約・派遣社員の人たちをひどく言って申し訳ありません。
ですが私が本当に言いたいことは次の記事にありますので、もし興味がある方は次回も是非読んでくれると嬉しいです。
それではまた次回で。
初めまして、初コメントです。
1ヶ月前から記事を読ませてもらってます。どの記事も共感できることばかりでコメントせずにはいられませんでした。
真面目そうに見えてハキハキ受け答えする人間はまさに私です(笑) ふざけたり、舐めたりしてる訳ではないのですが人の話を真面目に聞けないと言うか愛想の塊なんですよね・・・ほんとに興味がないことには無頓着なんです。ちなみに私もそんな性格が祟って12年間追いかけてきた夢を諦めました。周りの方々は真剣に応援してくださっていたのにも関わらずそんな態度なもんですから、愛想をつかされてしまいました。なのではっきりと諦めることにしました。
変なコメントですみません!
いつも楽しく読ませてもらってますので頑張りすぎないようにこれからも楽しく書いて、描いてくださいm(__)m
共感していただき嬉しい限りです。
愛想の塊というの、すごくわかります。
私も10代後半の頃なんかは仕事で失敗してもニコニコしちゃって、上司に嫌われたことあります。
決してふざけてるわけではないのですが、なんかね・・・仕事場では人間関係に疲れてばっかりですよ。
私は一生社会の輪に溶け込めそうにないなぁ・・・。
12年追いかけた夢ですか・・・。
それが何なのかちょっと気になりますね。
今でも諦めたことに全く悔いはありませんか?
私も漫画家を諦めたはずなんですが、少し前からまたこの夢がチラつくようになりましたよ。
素早い返信ありがとうございます。まさかその日のうちに返信して頂けるとは!
そうですね、私もよく『お前、何笑ってんの?ふざけてんの?』と子供の頃に先生に言われてましたし、今でも上司に言われたりします。(もう来年で30になるんですが・・・)
私も社会にあまり馴染めずにいます。
渡さん程色んな場所を経験してないですが、何というかちょっと浮くことが多いですね、会話一つにしても変な間が空いたり微妙な空気になったりするので人と話すのが嫌になりましたね・・・。
すみません あまり具体的なことは話せないのですが、私はこどもの頃から『ある物』を作るのが好きで
私は将来その『ある物』を作くる職人になりたかったんです。
そして中学を卒業してすぐ家をでて、親戚の家で下宿しながらその専門学校に通っていたんです。学校を3年間たって卒業したあとも
夢を絶対に叶えたくて職人さんの元に弟子入りして毎日自分なり一生懸命やっていました。(今思えば、その時はやっぱり つもり だったんですよね、薄々自分でもこのままでは独立は出来ないのではと思っていましたが、そんな現実から目を背けて逃げていたんです。)
そんなこんなで毎日、渡さんでいうところの模写的なことをひたすらしていました。
そして12年目になってなんだか、その物作りが嫌にというか、お腹いっぱいになってしまいました。諦めるに至りました。悔いは全くなくはないですが、とにかく一度それから離れたくて仕方ないです。物作りは好きです。好きですが、それに追い詰められたくないのです。
周囲の方には本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいですが、最近ではそういうこともあって過呼吸や胸の不快感などの症状もでるので、これ以上はまともに歩けないような気がします・・・。
長文すみませんでした。
渡 かいと さんは身に起こった社会問題をテーマにしたとき
驚くほど筆が乗っている感じがします 真に迫るものがありますね
わたしも某お口の恋人の工場で派遣社員として働いていました
上記の記事の通り 人が道具扱いでした
使えない人はクビを切られ 真面目な人はとりあえず契約更新
わたしはなんとか契約更新されて正社員雇用となりましたが
1年も経たずに辞めました 精神がゴリゴリ削られておかしくなったからです
もしこれから新しく働く人がいたとしたら
「工場は止めとけ!」と強く言いたいですw
そうですか? それは嬉しいです。
やっぱり工場は人が道具のように扱われますよね。そこが気楽で良いって場合もありますが。
工場は何か他に目的があって働くならいいかもですね。
クビ前提で働くなら気楽ですから。
ただ一生の仕事にするとなると合わない人には本当に合わないでしょうね。
とくに深夜も交えた交代制は寿命を縮めますよ。