前回の記事「漫画家を目指してる人は、模写とデッサンはほどほどにしとけ」

 

前回の記事も含めて「絵の上達法」みたいなのを4記事にわたって紹介してきました。

 

その記事はこちらから「なぜ絵が上手い人は絵が上手く描けるのか?下手な人は描けないのか?」

 

私はそれらの記事で「絵の上達にはまず模写をすること」だと話してきました。

描きたいものを描きまくって、描いてるものの姿、形を脳に入れることが大切だと。

しかし過去にこんなコメントを頂いたことを思い出しました。

 

「模写すら難しすぎてできないんですけど・・・」

 

それを聞いて、絵心がない人はどれぐらい絵が描けないのかに興味が湧きました。

今回は私の身近にいる、絵がまったく描けない人に絵を描かせてみた内容です。

 

模写がまったくできない人の気持ちとは?

 

え~っと・・・最近文章中はずっと敬語でしゃべってましたが、やっぱ敬語外させてください。

敬語じゃない方が「自分の言葉でしゃべってる」感があって話しやすいんで。

 

さっき紹介した「模写すらできない」という方のコメントをまずここに抜粋します。

 

『私はいわゆる「絵心がない」者で、犬を描けば「これは地球外生命体か?笑」などと言われるほど絵が下手くそです。

ある日、漫画やアニメが大好きな私は、好きなキャラクターを自分で落書きしてみようと思いシャーペンを手にとったのですが……そのあまりの下手さに絶望しました。

描いてる時も、「絵を描いている」というよりは「何が何だかよく分からずに線を引いているというような感覚」で、改めて絵心が無いということに言葉では言い表せない歯がゆさを感じました。

そんなわけで、絵心がない自分が嫌になり、なんとか現状を打破しようと思い、絵を描く練習を始めました。

 

そこで質問なのですが、私のように全く絵心がない者でも、やはり初めは模写から入るのが良いですか?

もちろん模写をしていて勉強になることもあるのですが、どこか九九ができないまま連立方程式を解いているような、ローマ字が分からないまま英文を読んでいるような感覚に陥ってしまいます。

「絵を描く」ということに慣れるためのトレーニングというか、簡単な基礎練習のようなものはありますか?

私には模写さえもレベルが高く感じられてしまって笑………

あれば是非教えていただきたいです。』

 

この方には返信で、模写より簡単なおすすめ訓練法を教えてあげた。

そのおすすめ訓練法を皆さんにも教えてあげようと思うんですが、その前に・・・私はこの人のコメントを読んで、正直言うと、ちょっとよくわからなかった。

模写が全くできない人の気持ちが、私にはよくわからなかったのだ。

 

これはちょっと自慢みたいになるが、私は子供の頃から「絵が上手い」と言われていた。

学校でも絵が上手いという位置づけをされていた。

絵が上手いといっても、模写が他の子より多少できる程度。

私は本当に絵が上手い人というのは「模写ではなく、イメージでオリジナリティあふれる絵が描ける人」のことを本当の絵が上手い人だと思っている。

私は模写以外は本当にさっぱりだったので、周りから「絵が上手い」と言われるのが嫌だったが、模写だけは他の子供よりはできる方だった。

 

なぜ私は子供の頃から模写が出来ていたのかというと、初めからやり方がなんとなくわかっていたからだ。

それはなんか・・・誰かから教えてもらったわけではなく、最初からわかっていた感じ。

どこをどういうふうに捉えて模写すればいいのか、初めからわかっていた感じ。

だから最初からある程度できた。

 

なので私には上記で紹介した「模写まったくできないんですけど・・・」という人の気持ちがよくわからなかった。

「何で? 普通に模写すればいいじゃん。」とか生意気なこと思ったくらい。

 

私は、模写がまったくできない人の気持ちを知る必要がありそうだなと思った。

そういう人はどの程度模写が出来ないのか、興味が湧いたのだ。

 

私の身近に絵心がまったくない人間に心当たりがあった。

その人に絵を描いてもらおうと思った。

 

お金を払ってでも。

 

 

絵心のまったくない友人に描かす

 

その人とは・・・私の友人。

このブログで何回か紹介した「萌えアニメ大好き。萌え漫画大好き」の例の彼。

彼とはじつに長い付き合いで、中学時代からよく一緒に遊ぶ、いわば腐れ縁だ。

 

彼の絵心のなさは中学3年のときに、一緒のクラスになってよくわかった。

中3のときの美術授業の時間に、自分の似顔絵を描くことになった。

それぞれが鏡を見ながら、絵に筆で色までつけて完成とするのだが、彼の絵は何というか・・・おどろおどろしかった。

描いた本人も認める「呪いの絵?」って感じだった。(その絵はもうないので、お見せできないのが残念)

 

それと私が過去に漫画家を目指してたとき、彼の家でよく模写をしていたのだが、彼に一度だけ絵を模写してもらったことがあった。

彼は女の子の絵を模写したのだが、そのときの絵もおどろおどろしく「どこをどう見て描いたらこうなるんだ?」と、その絵を見て爆笑してしまった。(その絵ももうない)

彼は昔から何事にも真面目にはやらないので、今回の絵もふざけて描いたのだと思っていたが後に聞いたところ、彼は真面目に描いてあの出来だったのだそうだ。

そして笑った私の前で「もう絶対絵なんか描かん!」と思ったのだそうだ。

 

・・・すまん。

 

そんな彼にお金を払ってもう一度絵を描いてもらうことにした。

描いてもらったのは去年(2017年)の夏ごろ。

今回のような記事をいずれ書こうと思っていたので、このときのために絵を描いてもらっていたのだ。

 

彼は今(2018年)は働いているが、当時は働いていなかった。

2年以上無職をしていて、貯金も底をつきかけ、かなり焦っていた。

職を探してはいるのだが、「良い仕事がない」とよくぼやいていた。

両親には無職になったことを隠していて、毎日作業着を着てなんちゃって出勤。

パチンコ屋の休憩所や、インターネットカフェなどで時間をつぶしてから帰る毎日だった。(けっきょく次の就職まで無職になったことを隠し通した)

 

とにかく、彼は切羽詰まっていた。

そんな彼に「千円やるから1枚絵を描いて」とお願い。

ブログ用のネタのためだとも伝えた。

本来の彼なら「めんどくさい」と言って絶対に描かないのだが、金のない彼は「マジでくれんの? なら描く!」とアッサリ食いついてきた。

 

そりゃそうだよね。

このままじゃ携帯料金払えなくなるもんね。

そうなったら面接先の合否の連絡を家の電話で受けなきゃならなくなるもんね。

そうなったら無職になったことが両親にバレちゃうかもしれんしね。

だから余裕で食いついた。

 

しかし、千円やると言っても2つ条件をつけた。

 

真面目に最後まで描かないと金はやらん!

 

1.模写するものは、ある程度こちらが指定させてもらう

 

私は彼と非常に付き合いが長い。

彼のことはよくわかっている。

もし「どの絵でもいいからとにかく模写して」といったら、彼はドラクエのスライムみたいな簡単そうなのを選んで、ササっと描いて「出来たよ。千円(要求)」と言ってくる。

それじゃ意味ないので、模写の対象物はこちらが決めさせてもらう。

 

 

2.下手でもいいので最後まで真面目に描いて完成させる

 

彼の性格はよくわかっているので、この条件を付けなければ、5分くらいでササーっと描いて「出来たよ。千円(要求)」とされる。

これじゃ意味ない。

ちゃんと真面目に最後まで描かないと千円は絶対やらんと突きつけた。

彼はこれらの条件をのんでくれた。

 

描くものは「人間」

顔だけとかではなく、全身写ってるのがいい。

そして漫画とかの絵ではなく、写真(実写)から選ばせた。

私は絵の勉強は、写真の模写もしっかり行った方がいいと思っているので写真から選ばせたが・・・今考えるとこの時は別に漫画の絵とかでもよかったと思う。

ってゆーか、いきなり写真の模写はハードルが高すぎたと今は思っている。

・・・まぁ、彼の絵を上手くするために描かせるわけじゃなく、彼がどれくらい描けないかを知るための実験みたいなものだから別にいいのだ。

 

とりあえず模写に使えそうな雑誌をいくつか持ってきていた。(ちなみにこの時は彼の部屋で模写させてる)

彼は「どれも描ける気がしない」と、なかなか選ばなかった。

本当にダラダラとなかなか選ばなかった。

絵を描いてと頼んどいてなんだが、週一日しかない私の貴重な休みをこれ以上、毎日休みの無職の彼に潰されるのは勘弁だったので、もう私が選んでしまった。

 

選んだのはコレ。

 

阿部サダヲ。

 

 

ポーズも構図もじつにシンプル。

全身もしっかり写っているので、これを描かせれば人間のどの部位を描けないと嘆くのかわかるので、これを描かせた。

彼は嫌がったが、どの写真でもどうせ嫌がるのでとっとと描かせた。

 

絵が描けない友人の苦痛

 

彼がどのように描いたかの前に、完成した絵を先に見せる。

これね。

 

 

真面目に描かせた。

 

ちなみに比較がこれね。

 

 

「ふざけて描いてんだろこれ」と思う人もいると思うが、ここまで描かすの、けっこう大変だったよ。

なんせ何度もやめようとするからね。

 

彼は描き始めて10分と経たず「もうヤダ! もう描きたくない!」とぼやきはじめた。

こんなことぬかしはじめるのは、まったくの予想通りだったので「ここでやめたら千円やらんで!」と、私は何度も千円チラつかせて彼に描かせた。

 

「もういーじゃーん! もうこれで終わりでいーじゃーん!」

 

彼は何度も何度もやめようとする。

 

「千円やらんで! やらへんで!」

 

私は何度も何度も千円チラつかせて描かせる。

しかし30分と描かせたくらいで限界っぽかったので、まぁこれでOKとした。

 

なぜ彼はここまで絵を描きたがらなかったのか?

そんなこと聞くまでもないことではあるが、絵を描いてる途中と、描き終わった後にいろいろと興味深いことを言っていた。

 

「模写どうしていいかわかんない」

「どう描いていいかわかんない」

 

上記で紹介したコメントくれた人と、同じようなことを言っていた。

彼にとっては模写できる人が、なぜできるのかが不思議でならないのだそうだ。

 

 

「描きはじめてすぐ、自分の圧倒的な絵の下手さに幻滅して、描く気が即効失せる」

 

彼は最初から描く気がないわけではなく、絵を描く前は本気で描く意気込みはあるそうだ。

しかし描き始めてすぐ「あ・・・これダメなやつだわ」と、自分の画力のなさに自分でビックリして、描く気がすぐに失せるのだそうだ。

上記で話した中学のときの自画像も、彼は最初は本気で描いたのだそうだ。

しかし描き始めてすぐ、自分の画力のなさにビックリして描く気が失せる。

周りのクラスメイトは皆、自分より描けている。

このまま真面目に描いて完成させたら恥かくだけだ。

だから彼はすぐにふざけて描くことに転向。

 

「〇〇くーん(友人の名前)真面目に描けよー(笑)」

 

ふざけて描くことで、このように笑いをとることに転向するのだ。

 

ちなみにその自画像は教室の壁に飾られることになり、卒業式が終わったら各自その絵を持って帰ることになったのだが、友人はもって帰らず教室のゴミ箱に即効突っ込んで帰った。

 

 

「だから絵心ないやつは絵を諦めるのが早い」

 

そんなことも言っていた。

彼は昔、「もし生まれ変わったら、出来る出来ないは置いといて・・・アニメーターになりたい。」

そんなことを言ってたことがあった。

自分には描けるわけないけど、描ける描けないは置いとくのなら、アニメ大好きな自分はアニメを描いた仕事をしてみたいと。

彼にもし生まれつき絵の才能があったのなら、彼はアニメーターを目指していたのかもしれない。

 

・・・いや、それはないな。

彼のめんどくさがり病は、昔から私以上だしな。

 

まぁそれは置いといて・・・あと絵を描いてるときも、いろいろな部分で苦戦していた。

 

「目、どう描いていいかわかんない」

 

目は難しいよね。

とくに実写の目は。(やっぱ漫画の模写をさせればよかったかな?)

何度も描いては消してをくり返してた。

 

 

「手、どう描いていいかわかんない」

 

手は早々に描くのを諦めてた。

私も手を描くのは難しいのは理解していたので、描き直させはしなかった。

 

 

「髪、どう描いていいかわかんない」

 

これは初めて聞いた。

顔とか手とか足とか、そういうところが描けないというのはいろんな人からよく聞くことだが、髪が描けないというのは初めて聞いた。

髪か・・・いわれてみると髪ってけっこう複雑だもんね。

 

このようにいろいろと興味深いことを聞けた。

30分しか描いてないけど千円以上の価値はあったと思っている。

絵心がない人は、もしかしたら彼の言うことに共感を覚えるのかもしれない。

 

絵を描けない人におすすめの訓練法

 

で、彼のような方々のためにいい訓練法があるんですよ。

その訓練法を次回の記事で紹介します。

 

 

・・・と言いたいところですが、そんな勿体つけるもんでもないので、もうお話しします。

 

「絵をなぞる」

 

というものです。

それだけです。

 

「模写できない」とコメントくださった方に、なぞる訓練法を紹介したら

 

『「なぞる訓練法」、やってみました!

これはなかなかいいですね。

真下にちゃんとした絵がある安心感というか、今どこの部分をどのように描いているのかということなどを意識しやすかったです。

なんだか小学生の頃の、漢字ドリルのなぞり書き練習を思い出しました笑

なぞり終わった絵を見るとまるで自分が上手く描いたような気分になりました。

好きな漫画のキャラクターなどだとなおさらモチベーションがアップしますね。

これなら自分でも練習を続けられそうです。

頑張ってみようと思います!』

 

そんな返信をいただいた。

 

 

しかし、この方にはまだお話ししたいことがあった。

 

なぞる訓練法は、なぞって終わりじゃほとんど意味がないけどね。

 

そこのところをコメントで軽く話しはしたが、コメントだけで細かく指導するのは限界があったので、今後の記事でなぞる訓練法についてお話ししていこうと思います。

 

私はこのなぞる訓練法・・・かなり長いことやってきましたよ。

私以上にやった人は、なかなかいないんじゃないかな?

だからけっこう知り尽くしてるつもり。

 

なぜ長いことこんなことやる続けてきたのか、ちょっと語りたいので次回ではそこのところお話しするかも。

興味のある方はまた読んでいってくださいな。

それじゃまた。

 

 

 

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