前回の記事「【絵が上手くなりたい人へ】上達法を私なりにまとめました」

 

前回、前々回、その前と、3記事にわたって絵の上達法みたいなのを説明してきました。

 

1記事目「なぜ絵が上手い人は上手く描けるのか?下手な人は描けないのか?」

 

2記事目「絵の上達法。絵は「線」ではなく「面」で捉えて立体的に描け」

 

3記事目「【絵が上手くなりたい人へ上達法を私なりにまとめました】」

 

それらの記事で、私は「画力を上げるためにはまず模写をすること」だと言ってきました。

しかしここでその発言にちょっと補足をします。

 

あなたの目標次第では模写や美術デッサンは・・・ほどほどにしといた方がいいかも。

 

注)今回の記事は私がわざわざ言わなくても、わかりきってる方がほとんどだと思うような内容となっております

 

模写とデッサンは時間がかかりすぎる

 

模写をする人のほとんどが「画力を上げるため」に模写をすると思います。

で、画力を上げてどうするのか?

 

「漫画家になりたいから」

「アニメーターになりたいから」

「プロデザイナーになりたいから」

 

それぞれの目標のために、画力を上げる模写をすると思います。

 

で、私はアニメーターとデザイナーについてはよくわからないので、これからお話しすることはこの二つのどちらかを目標にしてる人には該当しないかもしれませんが、漫画家を目指されてる方にはちょっと言いたいことがあります。

あなたが漫画家を目指されてるのなら模写は、限度というものをつくっといた方がいいです。

 

私はどんな目標であろうとまず模写は、写真を中心に模写を行った方がいいと思ってます。

それについて疑問をもつ方も多いです。

「漫画と美術の絵は別物なんだから、写真の模写はしなくていいんじゃない?」と。

確かにそうだとも思います。

あなたが漫画家を目指されてるとして、「私は〇〇先生のような絵が描きたい!」という自分にとって理想の漫画家の絵がすでにあるのなら、その漫画家さんの絵を中心に模写をし続けるのもいいでしょう。

 

ですが漫画というものは実際に作ってみると、誤算が生まれることが多々あるんですよ。

あなたがこれから作ろうとしてる漫画のストーリーや世界観に、その漫画家さんの絵が合っていないという誤算が。

 

例えば・・・あなたが「ToLOVEる」で有名な矢吹先生のような絵が描きたかったとします。

矢吹先生の絵は可愛い女の子で有名です。

 

 

そんなあなたも矢吹先生のような絵が描きたくて、矢吹先生の絵ばーっかり模写してたとします。

そうすると、あなた自身の絵も矢吹先生に近いものになっていきます。

そんなあなたの描きたい漫画の物語が・・・進撃の巨人のようなリアルな人間模様を描いたリアルチックなシリアスバトル漫画だったら・・・

 

 

絶対合ってないよ?

 

さすがにこれは描く前から合う、合わないはわかりますね。

これはちょっと大げさな例です。

 

でも漫画を描いたことない人って、自分がこれから描こうとしてる物語がどういった感じなものになるのか、イメージできてるようでイメージできてないんです。

 

私も漫画を描き始めの頃は、頭の中で物語をイメージして「これ絶対面白くなるぞ!」と思い、意気揚々と漫画を描き始めるんですが、「あれー? なんか思ってたのとちがうぞー?」となって描く気が失せていくことが多々ありました。

ていうか・・・そんなことばっかりだった。

 

それに漫画を描き続けてると、「自分が本当に描きたいものは何か」というのがだんだんとわかってきて、当初の目的であった描きたい漫画が変わってくるということがよくあったんです。

なので一人の漫画家さんの絵ばっかり模写し続けるのは危険なんです。

そればっかり描いてるから絵のクセがついちゃって、絵柄を変えようとしてもなかなか変えられない。

それにその漫画家さんの漫画を中心に読み続けてたから、自分が作ろうとする漫画のネームや世界観まで似てきちゃって、なかなか脱することができない・・・なんてことも起こりうるんです。

 

実際、矢吹先生が週刊少年ジャンプで「ToLOVEる」の連載を終えられた後、「フタガミ☆ダブル」という読み切り漫画を描かれたんですよ。

 

 

それは學園バトル漫画だったんですが、長いことToLOVEるのようなフワフワ恋愛エロチック漫画を描き続けてたせいか、なーんか・・・合ってなかったんですよ。

バトル漫画には絵柄も、雰囲気も。

バトル中も危機感みたいなのが伝わってこなくて。(矢吹先生ファンの方々、申し訳ありません。私個人の感想です。)

 

 

とにかく、同じようなジャンル漫画の絵を描き続けるのはちょっと危険だと思うんです。

自分自身の漫画の可能性も狭めてしまうことになってしまいますし。

だからどんな絵柄にもある程度対応できるように、まずは絵の基本ともなる写真を中心にしたデッサンから始めるのがいいんじゃないかと私は思ってます。

 

で、話を戻しますが、その美術デッサンは・・・ほどほどにしとけよ?

とも言わせていただきます。

 

 

デッサンマニアになってしまうかも?

 

なぜほどほどにしとく必要があるのかというと、美術デッサンって一度ハマっちゃうと、のめり込んじゃうと思うんですよ。

 

私は美大生でも美大予備性でもなかったので、これから話すことはちょっと想像も交えるのですが、美術デッサンって描き込んでる絵は本当に描き込まれてます。

鉛筆1本で、肌の質感を立体的にこれでもかというほど描き込まれてます。

 

 

なーんでこんなに描き込めるのかというと、模写やデッサンって(模写とデッサンの違いがよくわからんけど)上手く描けるようになるとどんどん楽しくなってくるんです。

最初は下手なので描いてて苦痛ですが、上手くなってくるとどんどん楽しくなってくる。

そうなると、どんどん描いちゃう。

どんどん描き込んじゃう。

いつの間にか・・・一つの絵に5時間10時間もかけて模写し続けてしまってる。

そうなってくると思うんです。

 

その領域に達してくると「デッサンマニア」といわれるようになり、自分のイラストを描かなくなる人も出てくるらしいんです。

 

あなたが漫画家になりたいのなら、そんな時間はありませんよ?

一つの絵に、何時間も模写し続けてる時間なんてありません。

漫画で大事なのはストーリーとキャラクターだという人が数多くいます。

私もそう思います。

絵をないがしろにするつもりはありませんが、やはりこれらの方が重要です。

だから面白いストーリー、良いキャラクターをつくれるようになるために、絵よりも多くの時間を割くべきなんです。

 

私は約8年間漫画家を目指してましたが、後半の3年くらいは絵をほとんど描いてません。

私は自分でストーリーを作ってみて愕然としたんです。

何も作れないんです。

作ったとしても、素人漫画家が作るようなありきたりな学園ものばかりで・・・。

 

私の頭の中って・・・からっぽだったんだ・・・。

 

それに気づいた後は多くの知識をつめこむために、残りの3年は本を読んだり、漫画を読んだり、映画を見たり、ストーリーを作りつづけたり、キャラクターを動かしたりに時間を費やしました。

ここでストーリー作りで落とし穴にハマってしまったんですが、それはいいとして・・・とにかく、漫画家になるためには膨大な時間が必要なんです。

のんびりと模写なんかし続けてる時間はないんです。

だからほどほどにしとく必要があるんです。

 

 

実写的な絵の漫画は毛嫌いする人が多い

 

ほどほどにしといた方がいい理由はまだあります。

美術デッサンばっかりしてる人の絵は、どんどん実写に近いものになっていきますが、漫画やアニメを好まれる人たちって、実写に近い絵の漫画を毛嫌いする人が多くありません?

 

過去に私がヌケそうなエロ漫・・・あ、いや・・・

可愛い女の子を描くための参考になりそうな漫画ネットで探してたら「尾髭丹」という方の絵が目についたんですよ。

その人の絵は肌の質感が異様に生々しくて、実際の肌のような質感で描かれてたんですよ。

このブログでその方の絵を公開するといろいろとマズいことになるので、下の画像を見せるのが限界なのが残念ではありますが、とにかく生々しい。

 

 

これは確実に美大出身レベルの方でないと描けはしないと思うほどのもので、私もこういうふうな絵が描けたらなーと思えるような絵でした。

しかし私の友人はその絵を見て「気持ち悪い」と言ったんです。

「臭そう」とも言いやがったかな?

この友人は過去にもこのブログで何度かネタにしてきたあの「萌え系大好き。萌えアニメ大好き」の例の彼です。

じゃあお前はどういう絵が好きなのかと聞くと、予想通りこういう絵。

 

 

人気漫画、人気アニメの絵は昔も今もデフォルメ化されたものがほとんどです。

実写に近い漫画を見て「漫画の絵になってない」とバカにする人もネットにはけっこういます。

 

「ROOKIES(ルーキーズ)」で有名な森田まさのり先生の漫画「ろくでなしブルース」も初期の頃は美術デッサン的な絵で、これを見て私も「漫画の絵になってない」とバカにする人の気持ちがよくわかりました。

 

 

美術デッサンを極めた絵は、逆に受け入れられないのが漫画の世界なんですね。

 

デフォルメ漫画を描きたくなくなる

 

美術デッサンはほどほどにしとけという理由は、しつこいようですがまだあります。

 

漫画やアニメはデフォルメ化された絵が好まれますが、美術デッサンが上手い人って、デフォルメ化された漫画を描けないと思うんですよね。

 

正確には「描きたくない」

 

これから話すことは完璧に私の想像でしかありませんが、美術デッサンが上手い人って、絵に対して向上心がとても強い人ばかりだと思います。

 

 

向上心がないと、ここまでの領域に達する前の段階で、絶対に満足しちゃうと思うんですよ。

向上心があるから血のにじむようなデッサンを毎日毎日し続けられる。

そんな領域に達した人が、

 

 

こんなデフォルメ化された絵の漫画(けっしてアラレちゃんを馬鹿にしてるわけではない)を描きたいと思うでしょうか?

そこは人によるでしょうが、もし私がデッサンを極めたら・・・私だったら描きたくない。

 

なぜなら自分が今まで磨いてきたデッサン力が劣化していきそうだから。

 

例えで話しますが、もし私が美術デッサンが上手くなったとして・・・せっかく美術デッサンを極めたのに、描く漫画は毎日毎日絵を最適化したデフォルメ的な絵。

そんな漫画を描き続けてたら、日々研鑽を積み続けてきたデッサン能力がおかしくなっていく気がしてならないんです。

私が日々デッサンをし続けてきたのは「バガボンド」

 

 

「孤高の人」レベルの実写的な絵で漫画を描きたかったからです。

 

 

こんなデフォルメ化された絵の漫画を描きたかったわけではない。

それなのに漫画はデフォルメ化された絵が受けるからって、こんな絵で漫画を描き続けろって?

 

 

やだ。

 

 

私なら絶対そうなっちゃう。

美術デッサンを極めたらね?

 

しつこいようですが、けっしてアラレちゃんの絵を馬鹿にしてるわけではありません。

(アラレちゃんは例えで使わせてもらってるだけなので、「鳥山明先生は絵が上手いよ?」とかのわかりきったことは無しで)

 

アラレちゃんは完璧なデフォルメ化された絵ですよ。

素人には描けそうで描けませんよこの絵は。

でも素人から見たら、簡単に描けそうに見えちゃう人もいると思うんですよアラレちゃんの絵って。

だからそんな漫画を描いてても、なかなか絵で褒めてはもらえない。

 

俺は本気を出したら絵が上手いのに・・・こんな漫画描き続けてる以上は「絵が上手い漫画家ランキング」に一生載りはしない。

本気を出したら読者が唸るような絵で漫画を描けるのに・・・

 

 

なんでアラレちゃん!?

 

 

みたいな感じにね。

私ならそうなる。

たぶん他の人もそうなってくるんじゃないかと思うんですよ。

美術デッサンの講師の方なんかは、漫画の絵を見下してる人もけっこういると思うんですよ。

「素人が描く絵だな」ってな感じで。(すべて私の想像でしかありません)

 

そんなレベルに達したら絶対デフォルメ化された絵なんて描きたくなくなる。

だから・・・ほどほどにしといた方がいいんです。

 

 

今回話したことは全部私自身に当てはまるけどね

 

今回の記事で言ったことは、私がわざわざ言う必要もなくわかってる人がほとんどだとは思いますが、でもどうしても言っときたかったので記事にしました。

そもそも漫画家を目指してる人が、美術デッサンなんて極めようとは思わないのかな?

まぁそれはいいとして・・・

 

「絵が上手くなるためにはまず模写をすること」だと言ってきましたが、その締めの記事が「模写はほどほどにしとけよ?」ですからね。

困惑なされた方もいると思います。

 

でも描き込んだ模写ってほんっっっと時間かかるんですよ。

 

私は今再び模写の勉強を始めてるんですが、一つの絵に何時間もかけて・・・

 

そんな時間あんの?

もうすぐ36歳になるのに、そんなことで貴重な時間をつぶして大丈夫なの??

 

って、模写を始めてこのように頭の中が騒がしいです。

 

私は漫画家を諦めた身なんでまだいいんですが、この記事を読んでくださってる方の中にはこれから目指す」

「今まさに目指してる途中」

そういう方もけっこういると思うんです。

 

模写やデッサンは上手くなるとのめり込んじゃいます。

時間を忘れて描き続けてしまいます。

努力するのは大変けっこうですが、当初の目標を忘れないように、その目標に向けての努力を最適化する必要もあります。

回り道は回り道でいろんなことが学べますが、時間は有限ですからね。

どうかその時間を大切に使って頑張ってください。

(なんか今回話した内容って、全部私にブーメランで跳ね返ってきてないか?)

 

 

で、次回なんですが・・・過去にこんなコメントをいただいたんですよ。

 

「私には模写すら難しすぎるんですけど・・・」

 

この方には模写すら厚すぎる壁だと・・・

そんな方のために、ちょっといい訓練法があるんで、次回・・・いや、次の次になるかも?

ともかく、次回以降はそっちも紹介していこうかと思います。

まぁ・・・よく知られた訓練法ですので、知ってる人も多いとは思いますが、せっかくですので紹介していこうと思います。

気になる方は次回以降もまた見ていってください。

それじゃ、また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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