前回の記事「「漫画の描き方」でわからないことを今後、記事にしていきます」
前回の記事では私が漫画を描く上で
「これ、どうやればいいの?」
「こういう場合はどういったやり方が効率良いの?」
というような、漫画制作において私が未だわかっていないことを記事にして、読者の皆さんに聞くという企画(?)をするとお話ししました。
今回の記事はその『わからないことシリーズ』第一弾です。
印刷はどこまでなら問題なく写るの?
私は自分の描いた漫画が雑誌に載ったことがありません。
自分の漫画が印刷されたことがないんです。
だから漫画を描いてていつも不安に思ってました。
「このインクの濃さできれいに印刷されるのか?」
漫画家志望者の漫画が印刷されるためには、雑誌の漫画賞とかで上位の賞をとらない限り印刷はされません。
なので実力が伴わない限り、そんな心配する必要はないとはわかっているのですが、やっぱりずっと気になりながら描いてたんですよね。
「普通の黒いインクならちゃんと印刷されるんじゃないの?」
そう思われる人もいるでしょうが、漫画を描いててインクが薄くなってしまう場合があるんです。
その例を今、思い出せる限りで紹介します。
ベタ塗りで色むらができる
髪や服を黒で塗りつぶすため筆やマジックでベタ塗りをするのですが、このときよく「色むら」ができてました。
私はベタ塗りのとき、最初は「パイロット製図用インク」でベタを塗ってました。
このインクはサラッとしてて伸びがよく、ペン入れのときはいつもこのインクを使ってました。
しかしインクというのは古くなったり、保管方法に問題があったりすると質がすぐ落ちます。
私は最初そのことを知らなくて、ペン入れのときにインクの蓋を開けっぱなしにしてしまっていたり、日が当たるところに置いてたりしてました。
そういう保管の仕方をするとインクはすぐ駄目になりました。
インクが少し・・・ほんの少しドロッとして、伸びが悪くなるのです。
その少しがペン入れでは致命傷でした。
伸びがあるペン入れができなくなるのです。
そんな古く駄目になったインクを私はベタ塗り用として使ってたのです。
ベタ塗り用のインクは瓶に貼ってあるシールを少し剥ぐことで、普通のインクと見分けをつけてました。
ベタ塗時にはそのインクを筆につけてバーッと塗ります。
しばらくして乾くと・・・むらができてるんです。
わかりますかね?
これは昔私が描いた原稿なんですが、黒く塗ってある部分にちょっと薄くなってるところがあるのがわかると思います。
(色むらがわかりやすいようにカメラの「明るさ設定」を上げて撮影してますので、実際はもう少し目立たないものになってます)
パイロット製図用インクは伸びがあるけど他のインクに比べて少し薄いような気がします。
ベタにはあまり向いてないインクなのかな?
でも他のインクでもこうなるんだよなぁ・・・。
とくに筆で塗るとこうなります。
この薄くなってる部分は印刷に問題なくきれいに真っ黒として映るのでしょうか?
それとも色むらが印刷に出ちゃうのでしょうか?
この色むらを警戒して後期の作品の頃はベタ塗りを濃いマジックで塗ってましたよ。
この色むら・・・印刷ではどうなるのでしょう?
スクリーントーンと重なったベタは・・・
スクリーントーンを貼るときは、黒くベタ塗した部分と重なる場合が多々発生します。
その場合、重なった部分は黒が薄くなります。
実際にやってみて説明します。
まずベタを塗ります。
乾いたら水色で囲ってる部分にスクリーントーンを貼るとします。
とりあえず適当な大きさに切りました。
ベタとトーンが重なってる部分があるのがわかると思いますが、トーンをこすって貼りつけてみます。
わかりますでしょうか?(わかりやすくするため撮影の「明るさ」を上げました)
ベタとトーンが重なってる部分はベタが薄くなってるのがわかると思います。
この薄くなってる部分も問題なく印刷に写るのでしょうか?
だったらベタと重ならないようにスクリーントーンを切って貼ればいいじゃないかと思うかもしれません。
ですがそれだとスクリーントーンを貼る作業はとても重労働になるんです。
例えば黒髪のキャラクターの髪にトーンを貼るとして・・・
黒と重ならないようトーンを切るとしたら、どれだけの重労働になるかがわかると思います。
私はおそらく重なってても普通に印刷に写るだろうと踏んで、重ねて貼ってたんですが・・・
これ、問題なく写るんですかね?
ゴムかけ後のインクが・・・
私が昔買った漫画の描き方を解説してる本に「質問返答コーナー」みたいなのがあって、漫画家志望の人がその本の解説役の漫画家さんにこんな質問をしてました。
「ペン入れした後、ゴムかけをしたらペン入れの線が薄くなるけど、印刷ではちゃんと写るのでしょうか?」
漫画を描くときはまず、下描きしてその上からペン入れをし、インクが乾いたら下描きを消す「ゴムかけ」という作業に入るのですが、その際に消しゴムのせいでインクが少し薄くなってしまうというのです。
そうなるとペン入れの見栄えが悪くなるのだとか。
それ・・・すっげーわかる。
黒々としたインクが若干でも薄くなることで、原稿の見栄えが落ちるんですよね。
この現象を嫌って下描きは別の紙にし、ペン入れはトレース台を使ってペン入れをするという漫画家さんもたしかいました。
私はインクが薄くならないよう、ゴムかけのときは極力力を抜いて消しゴム使ってました。
その人は薄くなったインクがちゃんと印刷に写るか心配だからゴムかけの後、わざわざもう一度ペン入れの線をなぞり直すのだそうです。
さすがに私はそこまでしませんでしたが、その印刷に写るか不安になる気持ちはすっごいわかります。
ちなみにこの質問に対しての解説漫画家さんの返答は
「え~? 僕は気にしたことないなぁ。そんな面倒なことしてんの?」
こんな感じだった気がする。
・・・つまり、心配しすぎ。印刷は大丈夫ということか?(この人、どの質問もあまりちゃんと答えてなかった気がする)
ご教授願います
以上が私が漫画を描いてて印刷がちゃんと写るか不安になった点です。
私の原稿は最後まで印刷されることがなかったので、けっきょく分からずじまいでした。
もしこれらの疑問についてわかる方いらっしゃったら、どうかコメントの方で教えてくださると嬉しいです。
どうかよろしくお願いいたします。
はじめまして。
いつもblogを楽しませていただいてます。
私は一応、商業誌に漫画が載ったことがあります。
しかしそれはデジタルで作った漫画でしたので、アナログ漫画は大学で軽く授業を受けた程度の知識しかありません。
たぶん、3つの疑問の答えは「問題なし」になると思います。
つまり、印刷に出るはずです。
トーンも重ねていいですし、消しゴムで薄くなっても大丈夫です。
大学時代、講義中に漫画家先生の完成したての原稿を見せて頂いた事があるのですが、ベタの色が驚くほど薄かったのです。
それについて聞いてみると、「こんなもんだよ」みたいに言われました。
…と、根拠はそれだけなのですが、
思ったより濃くしないでもいいのかもしれませんよ。
トーンの件も「ベタに重ねて貼りなさい」って教えられたような気がします。
ズバリと答えられずにすみません。
けど、問題ないはずです。
ブログ読んでくださり、そして質問の回答をくださって本当にありがとうございます。
「問題なし」それを聞けてとても嬉しいです。
これで「印刷に写らない」という回答が来たら、じゃあどうやればいいんだ?という新たな疑問が湧きおこるところでした。
ず~~~っと長いこと疑問に思い続けてたんですよ。
漫画家目指してたときからの疑問がこうやって氷解する瞬間はとても気持ちの良いものですな。
「ベタの色が驚くほど薄かった」というのも私的にとても参考になります!
本っっ当にありがとうございました!
それにしてもハマタさんは自分の漫画が印刷されて雑誌に載ったことがあるんですか。
すごいなぁ。いいなぁー。
初めまして。
少し前からブログ拝見させていただいていましたが、コメントは初です。
女性向けのH寄りのものなので、かなりマイナーですが一応漫画家をやっています。
ブログ内の疑問ですが、
スキャナーで原稿を「白黒」モードで読み取ると、印刷された時のだいたいの塗りムラがわかると思います。
(「カラー」や「グレースケール」モードではだめです)
スキャナーがない場合はコンビニの「地図」モードでコピーしてみてもいいです
(ただし、最近のコンビニコピー機は性能が上がっているので『ムラもそのまま再現』になるかもしれません…)
ベタの上のトーンは、空気さえしっかり抜いておけばほぼ確実に印刷には出ませんし、
線が薄くなってしまっていても、自分で見えないほど薄くなっていなければ大丈夫です。
と、ここまで書いておいて最後に付け足しておきたいのは、
ベタの塗りムラも消しゴムで薄くなった線も、漫画家デビューや雑誌に載ることにはあまり関係ないことなので
そこはそこまで神経質に気にしないで、漫画自体の面白さに磨きをかけるのが1番ということです。
これらを気にしなくてはいけないのは、自分で印刷の手配をする同人活動の時だけです。
丁寧に仕上げてある原稿はもちろん好印象となりますが、
ムラがあろうが薄かろうが、内容が面白くてある程度絵が描けていれば、
印刷に不適切なところくらいは編集さんが指摘してくれます。
かいとさんがこれからなにを目的に漫画制作を考えてらっしゃるかわかりませんが、
(投稿や持ち込みでなかったらすみません)
参考にしていただければと思います。
長くなりすみませんでした!
おぉ! まさか現役の漫画家の方からブログを見ていただけて、それも回答までいただけるとは感激です!
スキャナーの件、とても参考になりました。
私は自分の原稿をコピー機で印刷したことは何回かあったんですが、ハッキリと色むらが出てちゃったんですよね。
でも「白黒や地図」モードにしないといけなかったんですね。なるほど。
「ベタの上のトーンも空気さえ抜いておけば・・・」
あ、これは私の疑問の一つでもありました。やっぱ空気が入ってたら印刷にはでちゃうんですね。
やっぱ「漫画家志望」の段階では印刷のことなんてそんなに気にする必要はありませんよね。
印刷の件は編集さんからの指摘ももらえるんですね。へー。
これからの私の漫画制作の目的は・・・いったい何を考えてるんでしょうねぇ・・・。
一応のプランはあったんですが、そのプランが今ことごとく崩壊している状況であります。うぅ・・・。
かばんさん、親切な回答本当にありがとうございました!
私の疑問はまだあるので、もしよろしければまた回答いただけると嬉しいです!
過去に商業誌で連載の経験が有ります。
私も線引き用には同じインクを使っていました。描いた後に消しゴムをガシガシかけても印刷は大丈夫でしたよ。そもそも線が薄くなった、という記憶も無いのですが・・
あと、私はベタは顔料インクの筆ペンを使っていました。ムラにもならず、使いやすかったですよ(^ν^)
うおおぉ! すごい!
連載経験者の方ですか! コメントいただいて感激です!
インクってけっこう印刷にちゃんと写るんですね。
線薄くなりませんでしたか・・・。
まぁ薄くなると言っても、ほんのうっすらとですけどね。
でもそのうっすらが、私はすごく気になったのでやっぱりゴムかけは力を抜いてやりましたよ。
私も筆ペンは色々使ってみました。ですが一番気に入ったのが何かの特典についてきた非売品のやつだったんですよね。
だから二度と手に入らなかったのでそれに似た筆ペンを必死に探してましたよ。
教えていただいて本当にありがとうございました。
私の疑問はまだあるので、またその時教えていただけると嬉しいです。