前回の記事「普通の漫画を描きたいのにエロ漫画家を目指す。人間の感情を描きたい!」
今回は「電撃ドクターモアイくん」(全5巻)という漫画を紹介します。
1992年~1996年に「月刊少年ガンガン」で連載されていたギャグマンガです。
けっこうクセの強いギャグをぶちかますので、「どこが面白いの?」と思う人も多い漫画かもしれませんが、笑える人には笑ってもらえる漫画だと思います。
小学5年生で医者に
この漫画の面白いところはもう完璧にキャラクターですね。
Amazonでこの「モアイくん」という漫画のレビューを書いてる人がいましたが、「登場人物のほぼ全員が頭おかしい」と書いてましたがまさにその通りだと思います。
とくに強烈なキャラクターが主人公の「茂相(もあい) ヒロト」(通称モアイ)で、モアイくんは小学生なのですが、まず・・・ホモ。
そしてタイトル通りドクター・・・つまり医者です。
しかしモアイくんは登場時からすでに医者だったわけではなく、最初は普通(?)の小学生だった。
モアイくんは5年も通ってる学校を間違えて別の学校に行ってしまい、テストを受けて100点を取ってしまったのだ。
そのテストがなんと医師の資格試験だった。
モアイくんは決して頭がいいというわけではなく、むしろバカ。
バカなモアイくんがなぜ医師のテストで100点満点を取れたのか・・・モアイくんの父「茂相 父蔵(ちちぞう)」は語る。(この父親もかなり個性的)
そして正式に医者になるテストに合格し、モアイくんは小学生でありながら医者になることができたのだ。
息子を医者にして今すぐ儲けようという父蔵の思惑は速攻でぶち壊されたが・・・。
キャラクターのほとんどが個性的
そんな感じで1話目から世界初の小学生ドクターになったわけだが、とくに積極的に医者として活動してるわけではない。
モアイくん自身は別に医者になりたかったわけではないので、医者となっても今まで通り普通に小学生をやっている。
しかしこの漫画はモアイくんを含め、登場キャラクターが皆特殊なので普通に生活・・・とはなかなかいかない。
いろんな形でモアイくんは苦しめられたりする。
こんなふうに書くと「主人公のモアイくんが日頃からひどい目にあわされてる漫画」と思われるかもしれない。
確かにモアイくんはしょっちゅうひどい目にあってる。
しかし一番ひどい・・・鬼畜な性格をしているのは主人公のモアイくん自身なのだ。
鬼畜すぎる主人公
モアイくんの性格は基本的に「自分さえよければ他はどうでもいい」という思考だ。
自分の父親の命でさえときにどうでもいい。(殺そうとしたりすることも・・・)
昔から漫画の主人公というものは善か悪かでいうと、善である場合が圧倒的に多い。
少年漫画は子供が真似したり、悪影響を与えてしまったりもするので悪の主人公というものは掲載する雑誌側としてもなかなか難しいようだ。
とくに最近は苦情もうるさくなっているので、漫画もテレビも作る側は苦労してるようだ。
一応鬼畜な主人公という漫画もあるにはあるが・・・このモアイくんほどの鬼畜さをもった主人公もなかなかいないのではないかと思う。
その鬼畜さにはむしろすがすがしさを感じるほどだ。
しかしモアイくんは決して「悪」というわけではなく、ただ自分の欲望に忠実に生きているだけ。
助けるときはちゃんと助ける。(上記で苦しんでいたおばあさんもちゃんと助けた)
だからこそ憎みきれない主人公だと思う。
最後まで活かされる主人公の設定
主人公の設定が「ホモ」で「鬼畜」で「ドクター」というのは話しましたが、その設定は漫画の中でちゃんと活かされてるのかというと・・・大丈夫です。
ちゃんと活かされてます。
モアイくんは同じクラスの友人「海賀(うみが)」くんを愛しているが、
そのホモっぷりはいろんな場面でも暴走する。
途中で超かわいい女の子になんの間違いか惚れられて、いろいろと迫られもしたが彼のホモっぷりは揺るがなかった。
医者という面でも活動するときは活動するが、
その活動は主に妙な医薬の発明にあてられる。
モアイくんは欲望にまみれているので、その欲を叶えるために日々の研究に余念がない。
この漫画のキャラクター達はやることが皆過激なので、その行動に巻き込まれて多くのケガ人や死にかける人が続出する。
モアイくんの薬はそんな人たちの一命をとりとめることにも一役買っている。
・・・副作用さえなければ素晴らしい発明の数々なのだが。
漫画というものにはこのようにキャラクターや物語に多くの「設定」が設けられる。
しかし設定を設けたはいいが、作者自身がその設定を活かしきれず中途半端になってたりするものも・・・。
連載の途中でその設定が足かせとなり物語を進めるうえで邪魔になったので、いつの間にかその設定がなくなってる・・・なんてことも非常に多い。
代表的なのが「頭のいいキャラクター」
よく「IQ180以上の天才」なんてキャラクターが数多くの漫画で登場するが、そのキャラクターを動かす肝心の作者自身のIQが180には程遠いのでその設定を活かしきれず目立ってたのは最初だけ。
途中から「IQ180以上ある」という設定がついてるだけの凡人頭脳キャラクターになることがほとんどだ。(金田一少年は別)
しかしこのモアイくんというキャラクターは最初から最後まで「ホモ」「ドクター」「鬼畜」という設定がつらぬかれていた。
そういう漫画はなかなかないと思う。
最終巻は・・・微妙
この漫画を面白いとお勧めしていますが、正直言うと最終巻の5巻は・・・あまりお勧めできないかもしれません。
絵は少しずつ雑にはなってきてはいたが、内容が・・・ちょっと。
5巻すべての内容がひどいというわけではないが、すっごいやっつけで作ったような話も何話かあるからだ。
それと最後の方ではキャラクターの目がすごい大きく描かれてて・・・なんか変。
この漫画は5巻で終わっているが、もしかして5巻で終了と決まってて作者的に終わりが近づいてきてやる気をなくしたのかも・・・。(あくまで予想です)
最後の方で絵柄が変わったのも、作者が次回作のためにといろいろと模索してのことかもしれない。
でも最終話はちゃんとこの「電撃ドクターモアイくん」を終わらせているのでそこは安心しました。
おわりに
私がこの「モアイくん」という漫画を初めて読んだのは中学生の頃・・・だったと思います。
その頃の私は月刊少年ガンガンを時々読んでいて、モアイくんは少し読んだだけですぐ気に入りました。
その後、少ないお小遣いでコミックスを買い、売ることなく今もず~っと持ちつづけています。
私はこのブログで今まで10作近くの漫画を紹介してきましたが、その半分くらいが「少年ガンガン」系列の漫画ですね。
私は昔の少年ガンガンが好きでした。
昔のガンガンは絵柄も内容も少年漫画って感じの熱い漫画や笑える漫画が多くて好きだったんですよね。
でも最近のガンガンは・・・っていうか、結構前から萌え系や女性が好みそうな美少年漫画っていうか・・・BL(ボーイズ・ラブ)っぽいというか・・・そんな漫画が増えてきていつの間にか読むのをやめちゃったんですよね。
そんなガンガンも年々発行部数が落ちていって・・・とくに「鋼の錬金術師」が終わってからのガンガンの落ちっぷりはかなりヤバいようです。
2015年の発行部数はなんと「2万部」なんだとか。
少子化や娯楽が増えて漫画が買われなくなってるってのもありますが・・・さすがに2万部はヤバいですね。
今はWEB漫画にも力を入れてるようで、そのうち紙媒体の少年ガンガンは消えてしまうかもしれません。
私が紹介するガンガン系列の漫画はこの「モアイくん」が最後になると思います。
この漫画は万人受けは絶対しないとは思いますが、読んでくれた方が「こんな面白い漫画があったんだ!」と言ってくれたら本当に嬉しいです。
漫画とはどんな名作も終わってしまえばあとは廃れていってしまいます。
でもやっぱりそれはさみしいです。
そんな漫画たちを消し去ってしまわないために、私は今後も完結した漫画を紹介しつづけようと思います。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
ジャンプも今や200万部きりそうですね…。時代の流れでしょうか。それにしても、モアイくん 主人公がホモって新しすぎる…。早すぎたんですね。。ギャグ漫画の寿命は短い…。
自分は未来人間gogogoがおすすめです。
今は動画の時代になりつつありますからね。
漫画は完璧には廃れないでしょうが、これからもどんどん縮小されていくでしょうね。
ギャグは時代や世代によって受けとめられ方が全然違うでしょうから難しいでしょうね。
未来人間gogogoは知らないのでちょっと調べてみたら1巻の表紙見て「行け!稲中卓球部」の作者が描いてるのかと思いましたよ。(ちがったけど)
また機会があれば読んでみたいですね。