前回の記事「三木一馬の本『面白ければなんでもあり』を紹介しようと思ったんだけど…」

 

サクライタケシ先生の、

 

『ジャンプの正しい作り方!』

『少年ジャンプに人生賭けてみた』

 

 

この2冊の本を読みました。

タイトルから興味が湧き、読んでみたら面白かったので紹介することにしました。

 

今回、メインで紹介するのはこっちの方です。

 

 

この本が抜群に面白かったんで。

(『ジャンプに人生賭けてみた』の本は、記事後半で紹介します)

 

 

これらの漫画について説明

 

さっきの2冊の漫画は、「ジャンプ+(プラス)」という漫画誌に連載されている作品です。

「ジャンプ+」とは、ネットで読めるWeb漫画誌です。

 

サクライ先生が担当編集者と二人で、ジャンプに関係するいろいろなものを取材して漫画にしておられます。

 

本当は「すすめ! ジャンプへっぽこ探検隊!」というタイトルなんですが、それだといまいち注目されないので、コミックスではタイトルを変えて販売したようです。

 

ジャンプ制作取材漫画

 

まず、こっちの本から紹介します。

 

 

出版は2015年 7月。

作家が描いた原稿を、どういう風に少年ジャンプ雑誌にしていくかを取材しています。

 

印刷会社に持っていき、原稿をスキャン。

 

 

 

 

作家が原稿に書いた手書きのセリフを、パソコンで打ち込んでいき、

 

 

 

それを大量に印刷できるように「樹脂版(漫画を印刷する「ハンコ」のようなもの)」にする。

 

 

 

その樹脂版を使って、工場で印刷。

 

 

 

それら雑誌が出来る一連の流れを取材し、サクライ先生の手腕により、面白おかしく漫画にしています。

もちろんそれだけではなく、ジャンプフェスタに取材に行ったり、ジャンプ編集部に取材に行ったり、『僕のヒーローアカデミア』の堀越先生を取材したりと・・・いろいろやってます。

 

副編集長に取材した話では、ジャンプといえば「友情・努力・勝利」がテーマだということはよく知られていますが、そんなテーマはもう存在していないという驚きの事実をぶっちゃけたりしてます。

 

 

 

あと個人的に驚いたのが、雑誌の表紙のデザイン・・・っていうか、構図?

あれ作家じゃなくて、デザイナーが考えてたんですね。

それを作家がデザイン通りに仕上げるらしいです。

 

 

 

このように、ジャンプに関していろいろな秘密など盛りだくさんなので、ジャンプ好きの人は読んで損はないと思います。

ただ、私的には取材も面白かったんですが、一番面白かったのは、サクライ先生ご自身のことですね。

とくに、「この取材漫画を描くきっかけ」

これがとても面白かったんです。(サクライ先生にとっては、笑い事じゃなかったでしょうが)

 

漫画家を諦めてたのに、漫画家に

 

サクライ先生は、ジャンプ取材漫画の権利を、がむしゃらに漫画描いて編集部の信頼を得て勝ち取ったのではないです。

 

サクライ先生は漫画家をとっくの昔に諦めていた。

 

 

 

漫画から足を洗って3年。

「おにぎり屋」というおにぎり専門店に就職。

 

 

 

結婚もして、普通の会社員として働いていた。

 

そんなサクライさんに、ジャンプの元担当編集者「M山」さんから4年ぶりの電話が。

 

 

 

意を決して出てみると・・・

 

M山「あ どうも。お久しぶりですー。」

 

  「ルポ漫画描かない?」

 

挨拶も早々に、いきなりこんなこと言ってきた。

 

 

 

サクランさんはもう、普通に正社員として働いている。

仕事はけっこう忙しい。

結婚もして嫁さんもいる(子供はまだいない)

3年以上も漫画を描いていない。

 

そんな人間に漫画・・・しかも週刊連載なんてできるわけがない。

そこらへんの事情を説明するんだけど・・・

 

 

 

一方的に向こうの事情だけ話され、電話を切られた。

サクライさんは断る気満々だったのだが、ただ断るのも申しわけなく思い、考えた末、

 

「やるだけやったけど、やっぱダメでした」

 

これで断ろうと思った。

 

1時間後にまたM山さんから電話がくる。

サクライさんは、「M山さんから電話が来た今日のことをネームに描いてみて、それがつまらなかったら辞める方向で・・・」ということを報告。

M山さんも「オッケー。じゃあそれで。」ということで電話が切られる。

 

その後、なんとか5ページだけネームを描きあげ、M山さんにメールで送信。

 

「よし。これでボツもらってこの話は終わりだな。」

 

サクライさんはそう思った。

M山さんから返信が来る。

 

サクライ様

 

お疲れさまです。

M山です。

 

描けるじゃん(笑)。

面白かったです。

 

このまま一話でもいいくらいですね。

あともう一本お試し取材をして描いてみましょうか。

 

 

 

 

しかもその5ページのネームを連載会議に出すというのだ。

ルポ(取材)漫画なのに取材してない5ページを。

 

数日後、またM山さんからメールが来る。

 

 

 

連載決定。

なんかわからんうちに連載することになった。

 

 

いるんですね。

リアルにこういう人。

漫画の連載というのは、多くの作家ががむしゃらになってもぎ取ろうとしても、取れないもの。

それを不本意にも取ってしまうなんて・・・。

 

ってゆーか、なんでM山さんは4年も連絡をしてなかったサクライさんに白羽の矢を立てたんだろう?

そこが謎。

 

M山と共同取材

 

このルポ漫画はサクライさん一人で取材するのではなく、担当編集者M山さんも一緒に取材してくれてる。

このM山さんがまたおもしろい性格をしてる。

 

サクライさんとの初打ち合わせの際、4年ぶりなのにろくな挨拶もなく、いきなり金の話。

 

 

 

ドライな性格で、ズバズバとものを言うM山さんが面白い。

この編集者の存在のおかげで、さらに面白いルポ漫画となった。

 

 

ちなみに漫画連載のことを嫁さんに伝えると、

 

 

 

夫婦そろってジャンプ大好きだそうだ。

 

この嫁さんも漫画に度々出てくる。

とても微笑ましい性格の嫁さんで、嫁さんの存在が漫画をさらに面白くしてくれてる。

 

 

 

やっぱり漫画はキャラクターが大事だと再確認した。

 

 

激務により死にかける

 

会社員として働き、取材もして、毎週5ページの漫画を仕上げる。

スケジュールは当然ひどいもの。

休日には取材をし、睡眠を削って漫画を描く。

 

 

 

M山さんから定期的に原稿を急かす電話が入るもんだから、ゆっくりできやしない。

 

 

 

取材先が近場ならいいが、県外の場合の方が多く、ジャンプのアメリカ支部まで取材に行ったりと、地獄のような忙しさだっただろう。

そんな毎日を過ごして平気なわけもなく、サクライ先生の身体に異変が起きる。

 

止まらない吐き気・下痢・悪寒。

冷たくなってしびれる手足。

下痢や嘔吐で体の水分を吐き出しつくしてしまい、脱水症状を引き起こしてしまった。

 

嫁さんの誕生日だったのだが、いつ吐いてもいいようにバケツに頭を突っこみながら、祝いの歌で祝うのが精いっぱいだった。

 

 

 

体がまったく動かないため、おにぎり屋は一週間休みをもらう。

M山さんにも体調の異変について報告すると・・・

 

 

 

週刊連載は大変だ・・・。

 

そんな苦労が詰まったサクライ先生の『ジャンプの正しい作り方!』

興味ある人は是非、読んでみてください!

 

 

少年ジャンプに人生賭けてみた

 

次にこちらの本なんですが、

 

 

出版は2018年 5月。

先ほどの本から約3年空けての出版です。

 

こっちは取材・・・というより、「企画」が多いですかね。

 

初のコミックス『ジャンプの正しい作り方!』の印税全部突っこんで、「ラッキーマン」の姿に扮して、マカオのカジノで賭けやってみたり、

 

 

 

マカオ来たついでに、フィリピンの世界一高いバンジージャンプ(233m)の「マカオタワー」から、ジャンプ読んで勇気もらって飛んでみたり、

 

 

 

ジャンプ編集者のジャンプ力を測ってみたり、

 

 

 

命がけのものから、しょうもないものまで、YouTuberのような企画を全力でやってます。

企画だけでなく、取材もちゃんとやってて、「ワンピース」を描く前に尾田先生が働いてたレストランを取材したり、

 

 

 

「ブラック・クローバー」のアニメのオフレコ現場を取材したりと見所ありますんで、興味ある方は是非読んでみてください。

 

 

最後に

 

この本を読み始めたときは、「なんで漫画家を諦めたサクライさんにルポ漫画描かせたんだろう?」と疑問に感じたんですが、その理由は漫画を読んでてなんとなくわかりました。

サクライ先生は、ルポ漫画を描くのに向いてると思う。

取材を面白く漫画にするセンスがあるんです。

それにジャンプが大好きで、ジャンプについてとても詳しいんです。

漫画を読んでて、サクライ先生の熱いジャンプ愛を感じました。

 

そんなサクライ先生のジャンプルポ漫画、興味ある方は是非読んでみてください。

とくに『ジャンプの正しい作り方!』の方は面白かったですよ。

 

 

ちなみに今回の記事を読んで、サクライ先生を馬車馬のように働かせたジャンプ編集者M山さんについて、嫌な印象を受けた人もいるかもしれません。

ですが、M山さんも大変だったと思います。

M山さんはその頃、6本もの連載漫画を抱えてて、ただでさえ忙しいだろうに、サクライ先生と一緒に県外や海外にまで取材に向かいつづけたんです。

M山さんも激務だったでしょう。

 

上記でちょっと話した「ラッキーマンの姿で、マカオのカジノで印税全額使ってみた!」という企画も、M山さんは「掛け金は編集部で出す」と言ったんです。

それをサクライ先生は自身のプロ根性で、自分の印税全部使うと言ったんです。

けっして無理やり払わせたわけではありません。

 

とにかく、お二人のプロ根性を感じた漫画になってます。(途中で担当編集者変わってるけど)

彼らの苦労が詰まった本、是非読んでみてください。

ジャンプ好きの人にはお薦めします!

 

 

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