前回の記事「漫画家にとって心の管理はとても大切。環境や気分で作風が変わる

 

最近私はこのブログで漫画の『ネーム』についてお話ししています。

 

そんなネーム関連の記事を書いてる最中、過去に漫画家志望の方からこんなコメントを頂いたことを思い出しました。

 

「僕はネームも1ページずつ描いてる」

 

漫画を創るときはまずどんな物語にするかの内容を頭の中で大雑把に思い浮かべます。

それから「ネーム」→「下描き」→「ペン入れ」と、作業を進めていきます。

 

その際、まず全ページのネームが終わってから原稿の下描き作業に入ります。

 

下描きは、全ページ終わってからペン入れに入るか、下描き、ペン入れと1ページずつするかは作者によってそれぞれだと思いますが、ネームだけはまず全ページするものだと私は思っています。

しかしその方は1ページ目の「ネーム→下描き→ペン入れ」を終えてから、2ページ目も同様の手順で作業を進めていったというのです。

 

それを聞いた私は「へー。そんなやり方で描いちゃったんだ。」程度に聞いたのですが、しばらくすると他の人が同様のやり方で漫画を描いてたとコメントされたのです。

 

・・・もしかしてそういうやり方で漫画描いてる人ってけっこういるのか?

 

せっかくですから今回はそのやり方について、私なりに意見を述べさせてもらいます。

 

私はそのやり方・・・大反対です。

 

その理由をお話しします。

 




 

ネームも1ページずつ描く?

 

上記で説明した「ネームも1ページずつ描く」というやり方について、いまいちよくわからなかった方もおられると思いますので、もう少し詳しく説明します。

 

『ドラゴンボール』「ラディッツ戦」(勝手に)引用して説明させていただきます。

 

ラディッツ戦はピッコロ大魔王との闘いが終わった後の平和な世の中でのスタートとなりますが・・・

 

 

 

今、4ページほど見せましたね。

今の4ページはペン入れも終わっての完成原稿を印刷したものです。

鳥山明先生はあまり使われませんが、作者によっては「スクリーントーン」というシールのようなものも原稿に貼られます。

 

 

ですがその原稿を描く前に・・・

 

 

 

このような漫画自体の下描きとなる『ネーム』を全ページ描きます。

 

そのネームを基に原稿に下描き、ペン入れと作業を進めていくのです。

(上記のネームはこの記事のために私が大雑把に描いたネームです。鳥山明先生のではありません。)

 

ネームにはこれから描く漫画がキャラクターのセリフ付きで描いてあります。

『ネーム』はこれから描く漫画の大切な「軸」となります。

 

その重要となる「軸」を1ページ、1ページ、「ネーム→下描き→ペン入れ」「ネーム→下描き→ペン入れ」と進めていくのは漫画の内容やキャラクターの性格などがブレる、大変危険な作業の進め方だと私は思うのです。

 

漫画を描くのは時間がかかる

 

ドラゴンボールのラディッツ戦、1話目は14ページあります。

 

 

この14ページを読者はたぶん10分もあれば読めるでしょう。

文字が少ないので5分でもいけると思います。

 

ですが作者にとって、この14ページは5~10分で描いたものでは当然ありません。

漫画というのは1ページ描くのにだいたい8時間くらいかかると考えてもらっていいと思います。(一人で描いてる場合は)

 

漫画家志望の方なら漫画を描き慣れていないし、アシスタントも雇えないからすべて一人での作業になります。

なので背景とか緻密に描き込まなければならないページなら、1ページ描くのに・・・いや、1コマ描くのに20時間をも超えることもあると思います。

 

 

なのでこの14ページは作者にとって100時間以上はかかったであろう作品となるのです。

(例え話としてドラゴンボールを引用しているだけなので、「これは週刊連載だよ?」とか「鳥山明は描くの早いよ?」とかの意見は無しで)

 

 

で、この漫画を描いてる100時間以上の最中、作者の私生活にもいろんなことが起こります。

嬉しいこと。悲しいこと。楽しいこと。苦しいこと。

 

部屋に篭ってずーーーっと漫画を描きつづけられる環境ならいいのですが、作者によっては子育てや介護など、家の事情と闘いながら漫画を描いてる人もいます。

漫画家志望の人はプロの漫画家とは違い、漫画の収入など入らないので他に仕事をしなければ生活できません。

なので仕事で上司や取引先の人に頭を下げたり、クレームに追われたりもしながら、空いた時間に漫画を描く人だっているでしょう。

学校に通いながら描いてる人達もいます。

そんな私生活を挟まなければならないので、漫画を描いてる期間にも作者の心情はいろいろと動くことがあります。

 

突然学校でいじめられるようになったり、職場での居場所を失ったり、失恋したり、子供がグレだしたり・・・。

嬉しいことだってもちろん起こりえます。

 

そんな作者のかき回される心情は必ず描く漫画にも影響を与えます。

 

そんなひどくブレる心情で漫画を1ページ、1ページ創っていると、内容もキャラクターもブレブレのひどい漫画が出来上がる可能性があるのです。

 

実際に描いて説明

 

さっきから文章で説明してますが、やっぱりちょっとわかりにくいかもしれないので一つ例として漫画を作って説明します。

普通の安定した精神状態で漫画を作ります。

 

まずは「ネームも1ページずつ」のやり方ではなく、「全ページをネーム」でのやり方から説明します。

 

まず頭の中でどんな物語にするかを考えます。

 

どんな物語にするかをおぼろげに考えたら、それを全ページネームにします。(本当は次に「ネームプロット」って作業に入るんだけど、必ずしもやらなきゃならない作業ではないので今回それはパス)

 

 

 

 

大雑把なネームなのでわかりにくいと思いますが、セリフを読む限りではなんだか虫唾が走るような優しい世界のショート漫画ができました。(一つ誤字があったけど修正するのめんどくさい)

 

あとはこのネームを基に原稿に下描き、ペン入れを進めていけばいいだけです。

 

 

では次は「1ページずつネーム、下描き、ペン入れ」の方法でやります。

 

まず頭の中でどんな物語にするのか考えます。

安定した精神状態ですので、さっきのような(ってゆーかまったく同じ)幸せそうな世界の物語が思い浮かんできました。

それではそのおぼろげに浮かんだ物語を1ページずつ作っていきます。

 

1ページ目の構図、キャラクターのセリフなどを決めたネームを作り・・・

 

 

それを基にした下描きが終わりました。(本当はもっと下描きって大雑把にしますが、わかりやすくするためにけっこう描き込みました)

 

ここからペン入れをしてから2ページ目に執りかかってもいいですし、ペン入れは後回しにして2ページ目に移ってもいいです。

今回はペン入れはパスさせてください。(下描きで力尽きた)

 

 

では2ページ目にいきましょう。

2ページ目もまた同様に構想を練って・・・

 

 

下描きが終わりました。

 

ここまでですでにけっこう時間がかかりました。

日をまたいでの作業にもなりました。

 

 

それでは後日・・・3ページ目に入ります。

しかしここで問題発生。

なんとここで私の日常生活に支障が起こってしまいました。

 

職場でひどい嫌がらせを受けたのです。

これはもう立派な「いじめ」でした。

あいつらは私の苦しむ姿をさも見ものだとばかりにケタケタと笑っていたのです。

 

ムカつきます。

殺してやりたくなります。

死ねばいいのにアイツら!

 

 

・・・え? 3ページ目?

 

あぁ・・・え~と・・・どんな話を描くつもりだったっけ?

 

たしか・・・花を・・・花を・・・

 

 

・・・・

 

 

 

できました。

 

あぁ・・・すごくスッキリしましたよ。

花をやつらに見立てて引きちぎってやったんです。

 

え? このあと?

 

もちろん踏みつぶしてやるんですよ!

 

いや、待てよ・・・?

まず先に燃やしてやった方がいいな。

 

そーだ!

4ページ目で燃やして、5ページ目でボロカスになったやつら(花)を踏みつけて唾を吐きかけて終わりにしよう!

そうしよう!

 

 

 

はははははっ!

すっごいいい気味だ!

スッキリした!

今夜はよく眠れそうだ!!

 

 

しかし次の日・・・

また嫌がらせを受けた。

 

 

性懲りもなく・・・許せないアイツら。

 

どいつもこいつも、そんなに私の苦しむ姿を見るのが楽しいか?

 

あぁーーーーー!?

楽しいかぁぁあああーーーー!!?

 

 

許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない

 

 

あぁ!!?

 

5ページ目!!?

 

5ページ目!!!?

 

5ページ目も描けって!!!!?

 

 

 

 

 

・・・もはや何の漫画かわからなくなってきた。

 

と、まぁこのように作者の精神状態によって描く漫画は左右されるんです。

 

なので漫画の骨格ともいえるような『ネーム』は精神状態が安定してるうちにとっとと最短で全部作ってしまった方がいいんです。(今回のはかなり大げさな例で説明しましたが)

 

 

え? 上記で話してた「いじめ」や「嫌がらせ」は本当の話なのかですって?

 

いやだなぁ~。そんなのこの記事での説明のために作った作り話に決まってるじゃないですかぁ~。

私が働いてる仕事場は皆仲の良いすばらしい人格を持った人たちばかりのアットホーム(笑)な職場なんですよぉ~。

もぉーこんな話、本気にしちゃだめですよ?

 

 

 

・・・・許せない

 




 

おわりに

 

ネームに限らず漫画の作り方は様々です。

様々あっていいと思います。

なので私が反対してるだけで、他の人にとっては作りやすいやり方かもしれません。

ですがこのやり方は短編漫画ならともかく、長編漫画を作るとなると、やっぱり向いてないやり方だと思いますので私はお勧めしません。

 

それにしても今回の記事は私が言いたいことが皆さんにちゃんと伝わったかどうかちょっと自信ないですね。

やっぱり実際に漫画を描いたことある人でないとネームの話なんて伝わるかどうか微妙ですね。

 

 

それにしても今回は本当に疲れた。

何かを説明する記事って大変ですね。

もういいや、伝わってないなら伝わってないで・・・。

 

まぁとにかく・・・漫画家志望の人はがんばって

・・・ってことで。

 

以上。

終わり。

 


 


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